阿部重夫主筆ブログ「最後から2番目の真実」

  • 2007年3月30日「外注される戦争」はただの傭兵論ではない

    シンクタンク東京財団の研究員だった菅原出君が新著を出す。「外注される戦争 民間軍事会社の正体」(草思社、税込み1680円)である。日本人ではたぶん、菅原君以外にこういう本は書けないだろう。

    単なる軍事オタクが資料を集めただけの本ではない。ちゃんと足で稼いだ好ルポルタージュである。自分では戦地に行く勇気もないくせに言葉だけ勇ましい心情右翼の方々には、いい薬になるかもしれない。現実の戦場がどうマネジメントされているかをリアルに知るためにも一読をオススメしたい。

  • 2007年3月29日お花見

    東京も桜の花がほころびてきた。私も昨晩、夜桜を見た。

    愛宕神社である。財務省の知人に誘われて、その境内にあるお店で午後7時に会うことになった。タクシーで馳せ参じたが、久しぶりにあの石段を前にして感心した。足弱の現代人向きではない。そそり立つように急な傾斜になっている。脇に緩やかな女坂もあるが、これくらいと思って登りだした。が、途中で息が切れて、手すりについすがる始末。いやはや、年齢を忘れていた。

  • 2007年3月26日訂正

    「ある訃報」で、リルケが滞在したカプリ島をアドリア海と書いたが、イタリア半島の西の海はティレニア海でした。訂正します。

    ナポリの沖にあり、「青の洞窟」で有名。そういえば、麻布十番の新一の橋交差点にも「Grotta Azura」の看板があった。高架の下の薄暗い空間でススぼけて、見るたびに少し悲しい。

  • 2007年3月23日ある訃報

    作家の城山三郎氏の訃報が届いた。

    著名人なので、各紙とも評伝を載せている。それらと競う気はないが、故人を静かにしのんで、一言だけ付け加えたい。城山氏と最後にお会いしたのは、もう4年前になる。

    経営評論家で「選択」創業者の飯塚昭男氏が亡くなり、護国寺で行われた葬儀に出席され、弔辞を自らお読みいただいた日をきのうのように覚えている。

    弔辞は原稿用紙に書かれ、「最後の原稿をお届けします」の言葉で結ばれた。奥様を亡くして体もすこし弱っていた時期だったろうか、針金のように痩せて顔にも深いしわが刻まれていた。それでも凛として背筋を伸ばしておられた姿が忘れられない。

    彼の著作を経済小説と呼ぶのは躊躇する。たまたま材を経済人にとっただけで、今はもう稀少になった理想を描く小説、気骨の人を追う小説だったと思う。葬儀の始まる前、しきりに特攻隊のことを語っていた。城山氏は最後まで国に殉じた彼らの残像のもとで生きていたのだと思う。

    ときにそれが激語となったが、その語り口は常にある静謐さをたたえていた。

  • 2007年3月20日ああ志賀、女川、浜岡原発

    FACTA最新号で、電力業界のリーダー、東京電力を取り上げたので、この「原発事故隠しドミノ」について一言述べたいと思います。

    正直に言うと、今は亡き父は北陸電力の社員でした。戦後早々の9電力発足時に入社しています。電気のエンジニアだったからで、私が幼少のおりに日本海沿岸の大雪で「送電線が切れるかもしれない」と豪雪地帯の山奥に決死の思いで入っていったことを覚えています。

  • 2007年3月19日初心に帰って読者にお礼

    きょうあたりからFACTA最新号(3月20日刊)が読者のお手元に届き始める。ちょうと1年分を送り届け終わったことになる。創刊号からご購読いただいた方々に感謝申し上げるとともに、引き続きのご購読をお願い申し上げます。最新号の編集後記にもその感謝を書いた。42キロを走ったマラソンランナーが、競技場のゲートをくぐったような気持である。もちろんまた、新たなレースが待っているのだが……。そこで、編集後記をブログでも公開します。

    *   *   *   *   *

    早いもので、もうFACTAも12号目になる。つまり創刊から1年を経ったのだ。雑誌を一からつくるのは私には初体験で試行錯誤の連続だったから、感慨なきにしもあらずである。しかしここまで来たのも読者の支えあればこそ。誌面を借りて心よりお礼を申し上げます。改めて初心に帰って日本で唯一のクオリティー・マガジンをめざし、いっそう精進したい。

  • 2007年3月18日個人データ漏洩の信販3位、ジャックスで今度は致命傷の「マル秘トラブルリスト」

    大日本印刷から43社863万人分の個人情報データが漏洩し、インターネット通販詐欺グループなどに売り飛ばされていたことが発覚し衝撃を与えたが、その発端は信販第3位、ジャックスの15万人分のカード番号や有効期限などのデータが漏洩、667万円の不正使用が確認されたという事件(2月20日発表)である。

    ここではジャックスは被害者だが、同社で今度はマル秘の内部文書が明るみに出た。昨年秋から年末にかけての信販加盟店トラブルの一覧で、信販大手で唯一、黒字決算見通しのジャックスの「堅実経営」の内実が、深刻な事態に至っていることが明らかになった。そのマル秘リストを一足早く、当ブログで公開しよう。

  • 2007年3月13日もう一度のけぞった日興CG

    ありゃ? である。東証がこういう判断をするとは思っていなかった。

    これできっと、確実に私の寿命は縮まったと思う。

    幸か不幸か、次号のFACTAではそれほど大きく扱っていなかった。しかし多少、間が抜けた短信記事がある。作業上、部分直ししかできなかった。悔しいが、タイムアウトである。

    全紙予想外だったらしく、東証の姿勢に疑問符をつける論調が目立った。が、ハスレはハズレ。日経1面の言い訳めいた囲み記事は、悔しさありありだった。その気持ち、分かるなあ。

  • 2007年3月12日吐き気がする「敗軍の将」本間教授の弁

    本日からブログに復帰する。午前中に次号の編集作業を終えた。

    自分が編集中は他人の編集したものなど読む気にはならないものである。だから、先週はろくに新聞、雑誌に目を通していないし、本も読んでいない。FACTAブックマークにもほとんど保存できなかった。編集者が月に一回、こういう空白状態に陥るのは、紺屋の白袴というのか、奇妙なものである。

    で、久しぶりに雑誌を手にして、おやおやと思う記事をみつけ、それからおもむろに吐き気に襲われた。

  • 2007年3月 6日しばらく編集期間

    5日から編集期間入り。従って今週はブログに時間が割けなくなると思います。編集初日にもかかわらず、外部の会合がいくつか重なった。

    昼はジョージ・ワシントン大学からいらしたアジア政治の専門家、ヤン・C・キム先生のご高説をうかがった。最初は低い声で始まったが、だんだん話が佳境に入ると、声に力がこもり圧倒された。6カ国協議の合意の裏で、ワシントンがどう動いているのかがよく理解できた。感謝したい。

  • 2007年3月 5日上海株急落、FACTAで助かった人も

    お気づきの方もいらっしゃるだろうが、このブログにはコメント機能がついていない。反響をいただくのはありがたいのだが、コメントに応じていたらとても身がもたないのと、まるきり読まないでいたら失礼だと思うからだ。雑誌の性格も考え、ブログを持つ人から送られてくるトラックバックのみ受け付けている。

    でも、FACTAブックマーク記事アーカイブなどの会員向けサービスも始めたので、ご意見やお問い合わせ用のメールアドレス(support@facta.co.jp)を設けている。ここに、読者のナマの声がたびたび寄せられる。耳に痛いこともあれば、胸がはずむこともある。

    最近、こんなメールが届いた。

  • 2007年3月 3日カザフの「川の流れるように」

    高校時代の同期生がカザフスタンにいると聞いて、へえと思った。私が取材で行ったのは10年前の7月。アルマトイのホテルで、自民党訪ロ団長としてモスクワから飛んできた故小渕恵三氏らの一行と出会った。最上階のラウンジで天山山脈の冠雪に輝く黄金の夕日をみつめたことが懐かしい。彼に同行した通訳でのちに名エッセイストになった米原万里さんも、あのころは元気だった。

    たまたま胸のボタンがひとつ外れていて、それを小渕氏に見つかり、「米原さん、みかけよりグラマーだからな」とからかわれて、頬を染めた彼女の顔が思い浮かぶ。何かみごとな台詞で打ち返したが、その言葉をもう思い出せない。

    が、治安は悪かった。へたに強盗に捕まると、追いかけてこないよう、鼻をそがれると聞いて、ぶらぶら歩きもできなかった。が、そこへいま、おなじ高校にいた日本人が飛び込んだというのだから、拍手を送りたい。

  • 2007年3月 2日下流か否か――携帯厨とPC厨

    先日ご紹介したFACTA最新号の「パソコン見放す20代『下流』携帯族」の記事。筆者から「あちこちで引用されています」との報告があった。もちろん、否定的なものもあるが、やはり論議を呼ぶのだなと思いました。彼が寄せたのはこんな感想だった。

    まず、はてなブックマークでは、「統計のミスリード」など否定的反応が目立ちましたが、2ちゃんねるでは、この記事で、新たなケンカのタネが出てきますね。

    はてなブックマークの傾向を以前から見ていたのですが、明らかに理系・技術系のユーザーに偏重しており、実を言うと生粋の携帯ユーザーと接したことがある人自体が少ない、携帯ユーザーの実態を知らない、という印象があります。

    それに比べると、2ちゃんねるでは最近、「携帯厨」「PC厨」という言葉で、携帯ユーザーとPCユーザーの対立が顕著になりつつあるようです。以前「2ちゃんねるのPVはすでに3割が携帯電話経由」と聞いていましたが、2ちゃんねるなどでは、すでに、携帯電話ユーザーの情報リテラシー、ネットリテラシーがPCに比べて非常に低いことが問題になっていました。

  • 2007年3月 1日「有らざらん 壱」をお届けしています

    1月のFACTAキャンペーンとして、編集長の新著「有らざらん 壱」のご希望を募りました。抽選の結果、当選された方々に順次、本をお送りし始めましたことをお知らせいたします。すでにお手元に届いた方もいらっしゃいますが、これから届く方もいらっしゃるでしょう。ちょっと面映いのですが、何卒ご笑覧いただきますよう、お願い申し上げます。

    では、本日公開のフリーコンテンツの紹介。