阿部重夫発行人ブログ「最後から2番目の真実」

  • 2006年9月28日不思議の国のウサギ2――有らざらん

    あすは久しぶりに中国に行く。帰路、寧波に寄って、余秋雨が書いた魚背嶺に立寄るのでちょっと無理をする。そこで念のためクリニックに行った。4年前、強行軍でモスクワを往復したら、胸の重苦しさがとれなくなり、榊原記念病院で入院検査する始末になったからだ。

    まあ、若くはないので、あまり無理をしないように、と言われた。ごもっとも。すでにタバコはやめているので、お酒は自重していいきましょう。

    さて、デジタルメディア研究所から再三要請があり、ちょっと気が引けるが、自分の本のことを書こう。デメ研の橘川氏が始めた「オンブック」に肩入れして、この秋に彼のところから3年ぶりに本をだします。タイトルは「有らざらん」。

  • 2006年9月25日不思議の国のウサギ1

    「たいへんだ、たいへんだ、もうきっと間に合わないぞ」。とチョッキから懐中時計を出し、ちらっと見て走り去っていく「不思議の国のアリス」のウサギに、いつも自分をたとえたくなる。

    あたふたしているうちに1週間アップしないままであった。「そろそろブログを書かないと」と言われて、あ、もうそんなに、と思った。時間に錯覚が生じたのは、「予告スクープ、もう一丁!」の記事をいつこのサイトに掲載するかで、タイミングを見計らっていたからだ。

    予想通り、政府および安倍周辺から番記者には口止めがかかって(「交渉中なのでコメントできない」)、東証のようなきれいな追っかけ記事が出てこない。でも、なし崩しに日中が交渉中であることは公然の秘密になってしまった。23、24日の日中外務次官協議もそれが主議題であることは明らかだが、さすがに内容は洩れてこない。

  • 2006年9月16日インタビュー:渡辺聡氏「メディアはどう変わるか(5)――メディアの適正規模とは」

    メディア通信情報コンサルタントの渡辺聡氏との対談の最終回。FACTAはミニ出版企業だが、インターネットでそのハンディをカバーしようとしている。しかしSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の中には巨大化して上場するものも現れた。その維持に資本力が必要になってきたのである。同好会の延長線上にあるがゆえに心地よかったのに、資本の論理が入ると変質してこないのだろうか。ネットでもメディアには適正規模があるのかどうかを最後に論じた。

  • 2006年9月15日インタビュー:渡辺聡氏「メディアはどう変わるか(4)――コンテンツ設計のズレ」

    メディア通信情報コンサルタントの渡辺聡氏との対談の続き。今度はメディアの「かたち」ではなくて「中身」。新聞も雑誌もパッケージにしたコンテンツを売っているのだが、読者に一方通行で発信しているから時代とズレ始めてきたという議論がある。私もそう考えていた一人だが、渡辺氏は違うことを言う。それは効率重視の富国強兵的なロジックを土台としてきたからで、今やそうした政治主導や経済主導のコンテンツは求められなくなっているという。これはショッキングな指摘だ。「空間的に自分の活動圏と地続き」というニーズは何なのか。

  • 2006年9月14日ときどき代行5――「いちばん早い書評コラム」を始めます

    編集長ブログ「ときどき代行」の和田紀央です。FACTAは創刊から半年経ちましたが、11月号(10月20日刊行)から書評欄を載せようと現在準備中です。

    ありきたりではつまらないし、小説やミステリー、あるいは政治家やタレントの宣伝本、さらに学術専門書や研究文献の書評を載せても、FACTAのめざすものから外れてしまいそうです。そこで、ノンフィクション、またはそれに準ずる伝記、歴史、ルポルタージュ、紀行、サイエンスなどFACTSに関わるジャンルに絞った書評を考えています。

  • 2006年9月14日インタビュー:渡辺聡氏「メディアはどう変わるか(3)――大衆化とSNS」

    メディア情報通信コンサルタント、渡辺聡氏との対談の続きです。第1回は「Web2.0」とな何か、第2回はヤフー・ニュースのような人手と自動が渾然一体となっているもの。今回はSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)について語りあいました。もちろん、私は同好会的なSNSとは対極的な月刊誌を編集し発行している立場で、冷静にメディア間の違いを眺めることのできる渡辺氏と違い、つい熱くなってしまいました。近視眼的かもしれません。

  • 2006年9月12日予告スクープ――もう一丁!

    FACTAは9月13日午前6時を期して、またスクープを報道します。今度のインパクトはたぶんもっと大きい。海外紙にも追っかけさせたいな。

    前回は期待以上の成果でした。8月22日発信の「東証にみずほ証券が400億円請求」の特報は、新聞全国紙の全紙が第1面で追っかけたからです。ある出版社の知人は「バットで外野をさして予告ホームランするみたい」と悔しがった。

    今度はそこまで完勝は期待しない。ちょっと漏れかかっているので、9月20日の10月号刊行日まで待っていては、スクープがもたないと判断した。しかし、取材はずっと先行していたはずで、ウラも取れているから、中身の濃さには自信がある。

  • 2006年9月11日インタビュー:渡辺聡氏「メディアはどう変わるか(2)――ヤフー・ニュースの新と旧」

    メディア情報通信コンサルタントの渡辺聡さんとの対談の続きです。Web2.0のテーマから一歩踏み込んで、ヤフーのニュース論に進んだ。選別や見出しなどの作業が実は人手というあたり、E・A・ポーの「メルツェルの将棋指し」を思わせて面白かった。確かにヤフーには微かに人肌の温もりがあるが、グーグルにはない。

  • 2006年9月 8日インタビュー:渡辺聡氏「メディアはどう変わるか(1)――web2.0の実体」

    前回の鳥越俊太郎・オーマイニュース編集長につづき「メディア論」をテーマしたインタビューを連載します。今回登場していただくのは、メディア情報通信を専門としたコンサルタントの渡辺聡氏(渡辺聡事務所)です。渡辺氏は2004年4月よりテクノロジー系メディアのCNETJapanで「情報化社会の航海図」と題したブログを連載しており、テクノロジーの視点からメディアについてたびたび取り上げられています。

    渡辺氏はCNET Japan ブログの「信頼性とメディア設計」(2006年6月7日)という記事の中で、インターネット時代におけるメディアのタイプを「新聞、雑誌」「ディレクトリサービス」「サーチエンジン」「ソーシャル系サービス」の4つに分類し、それぞれの特徴について論じています。今回は、その辺りの話を中心に、テクノロジーの変化によって今後メディアがどう変わっていくかについて聞きました。

  • 2006年9月 4日誰が新聞を殺したか3――ベンヤミンの光学

    ケンブリッジ大学ウォルフソン・カレッジの日本人卒業生の会に出席した。

    仕事が長引いてだいぶ出遅れたが、帝国ホテル地下の三田クラブにかろうじてすべりこんだのは、もう7時近かったと思う。私と同時期に研究員として在籍した大蔵省の寺村信行元銀行局長に会えなかったのが残念だった。会場を見渡すと、さすがに大学在籍の方が多く、ジャーナリストなんて人種は見えなかった。誰かから「編集長はどんな本を読んでおられるのですか」と聞かれて、へへへ、と恥じ入った。

    本をどう読んでいるか、という質問をよくされる。雑誌編集長は物知りだという先入観があるからだろう。大したことはない。雑誌づくりが商売だと、日本語の本を読むのはすべて仕事用になってしまう。私的に楽しんでは申し訳ないと思っているから、もう何年もミステリーもSFも小説も読んでいない。内情はかなり貧しいのだ。