阿部重夫発行人ブログ「最後から2番目の真実」

  • 2006年4月30日電通を撃つ7――クレタのパラドクス

    口裏をあわせているとしか思えないサイバーエージェントとシーエー・モバイルの回答にいつまでもかかずらってはいられない。オプトも基本的には「インサイダー取引の認識はない」との回答だった。FACTA本誌にあるように、ネットプライスの佐藤輝英社長だけが、インタビューにこたえた。

    さて、いよいよ本丸の電通の回答である。質問は広報室、小林光二氏に宛てたのだが、担当が途中で代わって(逃げた?)、ベテランらしいコーポレート・コミュニケーション局次長兼広報室長、佐藤和信氏となった。i記者が会ったが、こういうトラブル案件向けなのか、ぺらぺらといくらしゃべっても何の実もない話しかできない人だった。白く塗りたる墓。聖書にそういう言葉があったのを覚えていますか。

  • 2006年4月28日電通を撃つ6――シーエー・モバイルの回答

    ブログは1日休ませていただいた。26日夕は、渋谷の「玉久」で久しぶりに翻訳家の柳瀬尚紀氏、河出書房の編集者、小池三子男氏と会って久闊を叙した。柳瀬氏はジェームズ・ジョイスの「フィネガンズ・ウエイク」を翻訳しており、その縁もあってロンドンでご一緒したり、東京で酒を飲んだりしてきた。

    そのあと、水道橋の「あき寿司」へ。さすがに疲れが出て眠くなった。帰りの電車は乗り過ごしてばかり、ずいぶん放浪して家にたどりついた記憶がある。

  • 2006年4月26日電通を撃つ5――回答状

    本日、このサイトで無料公開されるフリー・コンテンツは、このところ精彩がない竹中平蔵総務相についての政治記事です。通信・放送をめぐる竹中総務相の私的懇談会(通称・竹中懇)の報告が、IT業界の注目を集めているだけに、こういう政治サイドからの分析も必要なのですが、セミプロ向けのITサイトでは逆立ちしても読めない情報でもあります。FACTAのカバーする幅を示すために公開しましょう。

  • 2006年4月25日電通を撃つ4――第2質問状

    昨晩は同業の編集者諸兄、さらに企業広報の方々に神田錦町で励ましの会を設けていただいた。宮嶋副編集長ともども激励にお礼申し上げます。いささか飲み過ごしたので、このくだりは朝書き足している。

    本日も新たに一本、創刊号から記事を無料公開(フリーコンテンツ)して、このサイトに載せました。題して

    宇野USEN「救世主」の焦燥

    フジテレビから問題のライブドア株を個人で購入した宇野康秀社長のバックグラウンドを調べた記事です。評判のGyaOが800万人も契約者がいながらアクセスログを公開しないのはなぜか、光ファイバー事業を売ろうとしていた事実などが書いてありますので、ご精読ください。

  • 2006年4月24日閑話休題――ニューメディアと新聞

    月曜は「FACTA」創刊号に載った記事のうち、無料公開する「フリー・コンテンツ」第一弾を掲載したのでご覧ください。題して

    「ソフトバンク携帯」の侮れぬ隠し玉

    もちろん、ボーダフォンを実質2兆円で買収した孫さんが、11月のナンバーポータビリティー乗り切りにどんな秘策を凝らしているのかを追ったものだが、アップルの創業者にして、iPodのカリスマであるスティーブ・ジョブズと3月に東京で密会したことを本誌はスクープしている。そこから何を読み取るか……。

    さて、この日曜は充電につとめた。家に届いていたThe EconomistのNew Media Surveyを熟読して、いろいろアイデアを温めた。最先端ではないが、手際よくまとめてあって、ボリュームたっぷり。辛抱して丹念に読めば、「ウェブ進化論」が一面的であることがよくわかる。

  • 2006年4月22日電通を撃つ3――事前に腰が引ける?

    電通に取材要請の質問状を送った3月24日、ほぼ同内容の質問状を他の関係者にも送った。細部に異同はあるが、前回掲載した電通に送ったものと重複する部分が多いので、ここでは割愛する。送った相手先と表題だけを列挙しよう。

  • 2006年4月21日電通を撃つ2――質問状

    「顔のない企業」と前回書いた。汐留であの本社ビルを振り仰ぐたびに、とりとめのない気持ちになるのは私だけではないだろう。むしろ社員自身がそうではないのか。

    ロビーはたいていしんとしていた。僕はいつもそんな沈黙の空間に浮かぶ光の粒子を見つめながら、自分の心を見定めようと努力してみた。誰もが誰かに何かを求めていた。それは確かだった。しかしその先のことは僕にはわからなかった。僕が手をのばしたそのほんの少し先に、漠然とした空気の壁があった。(村上春樹「蛍」)

    まだ彼が干涸びる前の、ほとんど20年前の文章だが、そういう空漠たるものが汐留のあの宗廟のような建物にはある。その壁に声をかけてみよう。どういう答えが返ってくるのか。木霊のようにうつろな響きなのだろうか。i記者を通じて質問状を送ったのはこの3月24日だった。

  • 2006年4月20日電通を撃つ1――顔のない企業

    4月20日創刊の新雑誌「FACTA」は、「電通インサイダー疑惑」のスクープ記事を掲載している(「創刊号の読みどころ」を参照)。その書き出しはこうである。

    闘病中の直木賞作家、藤原伊織は「広告代理店のガリバー」電通の社員だった。その電通をモデルに、昨年書いたミステリー『シリウスの道』にはこんな文章がある。

    「この国の広告業界を特徴づける一業多社制は、彼らに話すまでもない。ある代理店がA電機をクライアントに持つなら、その代理店はけっして同業種B電機の広告作業を請け負うことはない。こういった一業一社制が、欧米ではビジネス上の常識だ。競争企業への情報漏洩リスクを恐れるからである。だが日本の広告代理店には、この国固有の歴史的な特殊事情がある。だからこそ、(中略)IDカードがなければ他の営業局に出入りできないし、PCではアクセス可能な範囲限定といった各種のファイアウォールが設けられている。競争する企業間の情報流通を内部で遮断するこの壁の存在は、日本の広告代理店の生命線といってもいい」

    電通に問う。あなたがたはその生命線を守っているのか、と。

    ファイアウォールとは企業内に設ける比喩的な「防火壁」のことで、ある顧客の新商品などの重要情報が、別の顧客を扱う部門に流れると、そこからライバル企業に情報漏洩が生じる可能性があるため、相互に情報が流れないよう社員同士を遮断して顧客を守ることだ。金融機関でいえば、社債発行部門とディーリング部門でこういう「壁」が必要になる。広告代理店も1業1社制ならそうした心配はないが、1業多社制ならファイアウォールが前提でなければ、顧客は信用できない。

  • 2006年4月19日言葉のピンボール4――ハーメルンの笛吹き

    一部地域ではすでに「FACTA」創刊号が届いたと思います。まだ届かない読者のために、正式の発刊日20日朝をもってこのサイトを一新する予定です。サーバーも切り替えるので、その作業中の20日午前零時から5時までサイトは「工事中」になりますが、悪しからず。トラックバックなどのリンクは新サイトに継承されます。

    新サイト開始とともに、このブログではひとつの実験を始めたい。いずれパスワードによるID認証で有料読者にテキストの全文ダウンロードをサービスしたいと考えていますが、創刊時はまだ間に合いません。当初はありきたりですが目次と一部「フリー・コンテンツ」(無料公開記事)を参照できるようにするにとどめます。

    とりあえず実験したいのは、このブログとFACTA誌面掲載の記事とのコラボレーションである。

  • 2006年4月18日言葉のピンボール3――メタテキスト

    本日から、刷り上がった「FACTA」創刊号の郵送作業が始まる。早い地域では発刊日より1日早い19日中に届くところもあるだろう。

    さて、SF作家P・K・ディックの失敗作(といっていいだろう)Lies, Inc.(「嘘」株式会社)に出てくる「読心の本」の話をつづけよう。このタイトルが、創刊号の売り物記事にちょっと関わってくるので、すこしこだわってみたいのだ。

  • 2006年4月17日言葉のピンボール2――LIES

    ディックから話を書き起こしたついでに、もうひとつ別の作品を取り上げよう。そこにでてくるSF流のガジェット(小道具)が気に入っているからだ。読心術を持った本というアイデアで、これはなかなか奥が深く、使えるのではないかと思う。

    私が英語のペーパーバックで読んだとき、この作品はThe Unteleported Manというタイトルだった。ところどころ原稿が抜けている不完全稿で、サンリオ文庫では「テレポートされざる者」(1985年、鈴木聡訳)として翻訳された。のちに脱落部分が発見されたらしく、それを補ってLIES, Inc.という新タイトルで新調され、それを訳した創元SF文庫版も「ライズ民間警察機構」(1998年、森下弓子訳)というタイトルとなった。

  • 2006年4月16日言葉のピンボール1――ちょっと訂正

    先日、私がおよそ20年前に翻訳したSF作家P・H・ディックの2作品「あなたを合成します」と「ブラッドマネー博士」を放出しますと書いたが、そのなかでちょっと事実誤認があったので訂正します。1987年にサンリオ文庫から出版した「ブラッドマネー博士」は、「文中にサリドマイド薬害を連想させる設定が出てくるため、新しい訳本はまず出ないだろうと思われる」と書いたが、昨年1月21日に創元SF文庫から「ドクター・ブラッドマネー――博士の血の贖い」(佐藤龍雄訳)として刊行されていました。ご指摘をいただいたので、新訳が出ていることを明記します。

  • 2006年4月15日編集期間終了

    やっと「下版」の声を聞いた。ようやく創刊号が完成である。あとは刷り上るのを待つだけ。

    とたんに疲れが襲ってきた。いくつか夜の約束もあったが、胸が苦しく血圧も上って頭痛もする。できあがったとたんに昏倒、ではあとが続かない。ここは養生することにした。いまは何を考えても休むに似たりで、ろくなアイデアもでてこない。休養第一である。といっても上気していて眠れないので、睡眠導入剤をつかい、泥のように眠った。

    あすから、このブログを正常化しよう。

  • 2006年4月14日編集期間突入10――なごみ系

    バンコクに電話した。相手はもう5年ほども会ってない。そのメール・アドレスを知って、短い近況報告を送ったら、返事が来たからだ。「雑誌を立ち上げたとのこと、その情熱に頭が下がります」。これだけで目がうるうるしてくる。

  • 2006年4月13日編集期間突入9――遅咲きの桜

    オフィスの前の道灌道に桜並木がある。ソメイヨシノはとうに盛りを過ぎたのに、ここの桜はきのうの春雨で目がさめたように、ようやく花開いた。

    人に会いに帝国ホテルに行く。地下鉄千代田線の日比谷駅からとんとんと駆け上がると、嬌声が聞こえた。わーっと盛り上がって拍手。ヅカファンが誰かをお見送りらしい。さあっと通り過ぎた車の窓から手だけが振られていた。

  • 2006年4月12日編集期間突入8――他策

    「他策」という聞き慣れない言葉がある。手嶋龍一氏のコラムの文章を校正した人から、「『策』でいいのではないか」とチェックが入った。無理もない。だが、手嶋氏があえてこの言葉をつかった事情を知る身からは、受け入れるわけにはいかなかった。

  • 2006年4月11日編集期間突入7――最後の胸突き八丁

    いよいよ大詰めに入ってきた。目次を固め、いちばん人騒がせになりそうな原稿は、弁護士の方に来てもらって、訴訟リスクをチェックしていただいた。新聞広告などのデザインに着手し、どうにかトンネルの出口が見えてきたような気がする。

  • 2006年4月10日編集期間突入6――早々スクープ!国際協力局長人事

    4月20日に創刊する雑誌「FACTA」が、大手新聞やテレビなど既存メディアを出し抜いてスクープを打てるという力を証明しよう。注目の霞が関人事である。

    私も記者クラブ詰めの記者をやったことがあるから、よくわかる。どれほど地味でも、人事はクラブ記者の生命線なのだ。たとえベタ記事であっても、彼らはそれを抜かれないためにいる。どこの馬の骨とも知れない雑誌に、その大事な人事をスクープなどされたら、目もあてられない。その屈辱は察するにあまりある。

    しかも月刊誌は月に1回しか締め切りがないから、スクープなぞ至難のわざ……と思うのが甘い。いまや朝夕刊しかない新聞より、ネットのほうが24時間いつでも打てるから有利なのだ。そのためにこういうブログを始めたのだ。で、雑誌掲載に先立ち、このサイトで「ちょい見せ」します。

  • 2006年4月 9日編集期間突入5――夢遊病

    もうろうとして夢遊病のような日々。起きているんだか、寝ているんだか、よく分からない。これが創刊ってもんなのか、好きでやっているから文句は言えないが、凡ミスを警戒しなければいけない。

    現にきのうは電車で二度も乗り過ごした。ぼーっとして離魂症にかかったみたいだから、自分がいまどこにいるのか分からない。だから、このブログも一回書いて、保存せずに消してしまった。これも乗り過ごしと同じである。

  • 2006年4月 8日編集期間突入4――朝帰り

    午前7時半に朝帰りした。一本原稿が届かず、未明まで待ったからだが、さすがにげっそり無精ひげ。久しぶりだけど、こりゃ命を縮めますなあ。

  • 2006年4月 6日編集期間突入3――女刺客が消える?

    わっさかわっさか出稿しているうちに、私の弱点である腰が痛くなってきた。これはいかん、と銀座8丁目に出かけて、侃々諤々の議論をした。この忙しいのに、ではない。忙しいからこそ、息抜きでなく、別の空気が吸いたいのだ。

  • 2006年4月 4日編集期間突入2――クラッシュ

    きょうからこのサイトのフロント・ページが衣替えした。荒木経惟氏の写真を使わせてもらった。じかにこのブログ・ページへ来たかたは一目見てほしい。

    さて、P・K・ディックの幻の翻訳本を進呈しよう、とこのブログで書いたら、たった1日で注文がどっときた。申し訳ないが、じきに締め切りにせざるをえないかもしれない。販促の一助とはいえ、ひたすら感謝申し上げるほかない。

  • 2006年4月 3日編集期間突入1――幻のディック本を放出

    そろそろ、この「ほぼ毎日」ブログが綱渡りになってきた。この土日は休み返上で、創刊準備のため出社である。社員も同じく朝から深夜まで勤務となった。まだ何かやり残しているのでは、と不安ばかりがのしかかってきて、とてもハイエクどころではない。書きたいことはヤマとあるが、ここらで現在進行形となろう。