阿部重夫主筆ブログ「最後から2番目の真実」

  • 2019年5月 7日常滑が問う「LIXILは誰のものか」

    日本に企業統治が根付くためには、これも欠かすことのできない重要なステップの一つなのか。潮田洋一郎会長兼CEOの解任動議に揺れるLIXILで、上級執行役14人のうち10人が連名で潮田体制の継続にNOを突きつけた。潮田氏と山梨広一社長兼COOについて「経営の資格がない」と切り捨てる書簡を指名委員会に送ったという。業務執行の責任者からそっぽを向かれては、経営トップとして求心力を保つのは難しかろう。

    「経営と執行の分離ならぬ"分裂"」ともいうべきこの異例の展開は、有効に機能しなかった社外取締役の役割を執行役が果たすという越権行為にも見えるが、ステークホルダーの一部が経営体制に物申すという点で「会社は誰のものか」という根源的な問いにつながっている。

  • 2019年4月 1日オリンパス新社長が「物言う」社外取締役けん制

    オリンパスが3月29日、新たな経営体制を発表、取締役会のメンバーに加え、指名委員会等設置会社への移行も明らかにした。1月に物言う株主のバリューアクト・キャピタル・マネジメントが経営に参加すると発表、その陣容が注目されていた。

    発表内容を見ると、オリンパスはやはりオリンパスだった。バリューアクトから社外取締役2人を受け入れたが、留任したり社外監査役から横滑りしただけの「物言わぬ社外取締役」は8人もいる。さらにプロパーの役員も5人を数え、これならバリューアクトの要求も封じ込めることができると踏んだのか。これでは経営に緊張感など生まれまい。

  • 2019年2月28日「ハコ企業」が敗訴続き、裁判所も反市場勢力にコワモテ

    上場していながら業績不振で株価が底這い状態、息も絶え絶えながら、その看板を悪用する反市場勢力に乗っ取られた企業を「ハコ企業」という。FACTAは創刊当初からハコ企業を叩き続けてきたが、日本取引所(JPX)グループの甘い退場ルールで上場廃止をまぬかれ、生きながらえている例は枚挙にいとまない。

  • 2019年1月31日社長やコンサル、社外取より課長の知恵が頼み

    自動車メーカーを顧客とする経営コンサルタントのもとに、部品メーカーが入れ替わり立ち替わり訪れては、相談を持ちかけているそうだ。特に多いのはガソリンエンジンなどの内燃機関向けの部品メーカー。

    「我われが生き残るための道は、どの分野でしょうか」

  • 2019年1月11日 「東京五輪買収」竹田JOC会長に訴追手続き

    1月11日14時51分、ル・モンド紙のヤン・ブーシェ記者からメールが舞い込んだ。欧州大陸時間で午前6時51分、パリから届いた目覚ましメールに目玉が飛び出た。

    竹田恒和・日本オリンピック委員会会長がフランスの検察に、2020年東京五輪招致のために買収の支払いを承認した(corruption active)という容疑で訴追手続きに入ったことを確認した、とあったからだ。

  • 2018年12月28日仮想通貨で「大火傷」GMOとペジーの不可解

    どうにも釈然としない話だ。12月25日にGMOインターネットが発表した損失計上である。

    仮想通貨価格の下落やその発掘の計算力競争で競り負けたことを受け、マイニング事業で355億円の特別損失を計上、単独ベースの特損は380億円に膨らんで特別利益を捻出しなければGMO本体が債務超過に転落するほどの打撃だ。

  • 2018年12月 2日水道法改正、「トカゲの尻尾切り」が蓋したもの

    国会で審議中の水道法改正案が強行採決されるのではないかと警戒感が高まっている。

     

    法案は高齢化と人口の減少、設備の老朽化で上下水道の維持・管理が難しくなるのを見越して、民間業者の参入を可能にしようとするものだ。法案が提出されて自民党の議論の進め方が強引だとして反発する声も多いが、水道の問題そのものは「やっと出てきたのか」と感じている読者もいるのではないか。

  • 2018年11月 4日脱パワハラ、「青学」流を企業も学べ

    以前、知人の誘いで青山学院大学の教授と会食したときのこと、話題が箱根駅伝に向いた。言うまでもなく、青学は今年の正月に4連覇を達成した強豪校である。

    「今の若い人は練習の環境さえ整えてやれば、あとは自分たちで勝手に練習して強くなっていくようです」

    会食は青学が15年に箱根駅伝で初優勝を遂げて4~5日後のことだったが、すでにあちこちから「青学はなぜ強くなったのか」と聞かれることが多かったそうで、陸上競技には縁がなかったこの教授も自然と学内で取材していたようだ。それほど青学の雌伏は長く、優勝は驚きをもって受け止められた。

  • 2018年10月 1日初心忘れた「新潮45」の落とし前

    LGBTを巡る記事が批判を浴びていた月刊誌「新潮45」が休刊となった。この問題がここまで大きくなってしまったのは、この月刊誌を出版していたのが名門出版社の新潮社であり、期待されていた"格"に誌面の質が伴わなくなっていったことが大きい。ソニーやパナソニックが大人のおもちゃを作るようなものだ。しかしこの事件が突きつける問題は差別や出版の品格にとどまらないのではないか。

  • 2018年9月 2日スポーツも企業も「頭から腐る」

    レスリング、アメリカンフットボール、アマチュアボクシング、居合道、体操......。スポーツ界でパワハラや不明朗な金銭授受といったガバナンス上の問題が相次いで表面化し始めた。

    それもこれも企業経営にガバナンスや法令順守が十分に機能していないケースが次々に見つかり、これを軌道修正する動きが広がるなかで、ガバナンスの考え方が垣根をまたいでスポーツ界にも波及したことの表れと見ていいだろう。