阿部重夫主筆ブログ「最後から2番目の真実」

  • 2019年7月 1日不信だけが残ったLIXIL「画期的」株主総会

    3月決算企業の株主総会が集中する6月27日が過ぎた。日産自動車やスルガ銀行、レオパレス21など世間の耳目を集めた総会が終わり、その中には特定の企業の将来ばかりでなく、日本の企業統治のあり方を左右したり、新たな問題を浮かび上がらせたりした総会もあった。

  • 2019年5月31日株主総会で生保を凍らす「殺し文句」――団体保険解約ちらつかす企業

    「これはいずれ大きな問題になる。大きな問題として提起してやる」

     株主総会シーズンを前に海外の投資ファンド関係者がいきり立つ問題がある。議案に対する賛否を表明するうえで、機関投資家と受益者の間に生じる利益相反がそれだ。投資家と企業の間で建設的な対話を促すスチュワードシップ・コードにも関わる問題と言い換えた方が、より切実な響きがあるかもしれない。これまでも同様の問題があっただろうが、今年はとりわけわかりやすいケースで衆人環視の下、機関投資家は踏み絵を迫られる。

  • 2019年5月 7日常滑が問う「LIXILは誰のものか」

    日本に企業統治が根付くためには、これも欠かすことのできない重要なステップの一つなのか。潮田洋一郎会長兼CEOの解任動議に揺れるLIXILで、上級執行役14人のうち10人が連名で潮田体制の継続にNOを突きつけた。潮田氏と山梨広一社長兼COOについて「経営の資格がない」と切り捨てる書簡を指名委員会に送ったという。業務執行の責任者からそっぽを向かれては、経営トップとして求心力を保つのは難しかろう。

    「経営と執行の分離ならぬ"分裂"」ともいうべきこの異例の展開は、有効に機能しなかった社外取締役の役割を執行役が果たすという越権行為にも見えるが、ステークホルダーの一部が経営体制に物申すという点で「会社は誰のものか」という根源的な問いにつながっている。

  • 2019年4月 1日オリンパス新社長が「物言う」社外取締役けん制

    オリンパスが3月29日、新たな経営体制を発表、取締役会のメンバーに加え、指名委員会等設置会社への移行も明らかにした。1月に物言う株主のバリューアクト・キャピタル・マネジメントが経営に参加すると発表、その陣容が注目されていた。

    発表内容を見ると、オリンパスはやはりオリンパスだった。バリューアクトから社外取締役2人を受け入れたが、留任したり社外監査役から横滑りしただけの「物言わぬ社外取締役」は8人もいる。さらにプロパーの役員も5人を数え、これならバリューアクトの要求も封じ込めることができると踏んだのか。これでは経営に緊張感など生まれまい。

  • 2019年2月28日「ハコ企業」が敗訴続き、裁判所も反市場勢力にコワモテ

    上場していながら業績不振で株価が底這い状態、息も絶え絶えながら、その看板を悪用する反市場勢力に乗っ取られた企業を「ハコ企業」という。FACTAは創刊当初からハコ企業を叩き続けてきたが、日本取引所(JPX)グループの甘い退場ルールで上場廃止をまぬかれ、生きながらえている例は枚挙にいとまない。

  • 2019年1月31日社長やコンサル、社外取より課長の知恵が頼み

    自動車メーカーを顧客とする経営コンサルタントのもとに、部品メーカーが入れ替わり立ち替わり訪れては、相談を持ちかけているそうだ。特に多いのはガソリンエンジンなどの内燃機関向けの部品メーカー。

    「我われが生き残るための道は、どの分野でしょうか」

  • 2019年1月11日 「東京五輪買収」竹田JOC会長に訴追手続き

    1月11日14時51分、ル・モンド紙のヤン・ブーシェ記者からメールが舞い込んだ。欧州大陸時間で午前6時51分、パリから届いた目覚ましメールに目玉が飛び出た。

    竹田恒和・日本オリンピック委員会会長がフランスの検察に、2020年東京五輪招致のために買収の支払いを承認した(corruption active)という容疑で訴追手続きに入ったことを確認した、とあったからだ。

  • 2018年12月28日仮想通貨で「大火傷」GMOとペジーの不可解

    どうにも釈然としない話だ。12月25日にGMOインターネットが発表した損失計上である。

    仮想通貨価格の下落やその発掘の計算力競争で競り負けたことを受け、マイニング事業で355億円の特別損失を計上、単独ベースの特損は380億円に膨らんで特別利益を捻出しなければGMO本体が債務超過に転落するほどの打撃だ。

  • 2018年12月 2日水道法改正、「トカゲの尻尾切り」が蓋したもの

    国会で審議中の水道法改正案が強行採決されるのではないかと警戒感が高まっている。

     

    法案は高齢化と人口の減少、設備の老朽化で上下水道の維持・管理が難しくなるのを見越して、民間業者の参入を可能にしようとするものだ。法案が提出されて自民党の議論の進め方が強引だとして反発する声も多いが、水道の問題そのものは「やっと出てきたのか」と感じている読者もいるのではないか。

  • 2018年11月 4日脱パワハラ、「青学」流を企業も学べ

    以前、知人の誘いで青山学院大学の教授と会食したときのこと、話題が箱根駅伝に向いた。言うまでもなく、青学は今年の正月に4連覇を達成した強豪校である。

    「今の若い人は練習の環境さえ整えてやれば、あとは自分たちで勝手に練習して強くなっていくようです」

    会食は青学が15年に箱根駅伝で初優勝を遂げて4~5日後のことだったが、すでにあちこちから「青学はなぜ強くなったのか」と聞かれることが多かったそうで、陸上競技には縁がなかったこの教授も自然と学内で取材していたようだ。それほど青学の雌伏は長く、優勝は驚きをもって受け止められた。