ホームセンターの「ドイト」売り上げ減で火の車

2006年9月号 DEEP [ディープ・インサイド]

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 ホームセンター(HC)の草分け的存在であるドイト(本店・さいたま市)が8月に入り、取引銀行を集めて向こう5カ月間の借入金返済猶予を要請した。原因は、売り上げの落ち込みと減損会計実施による大幅な赤字決算。ドイトは、猶予の間に同業他社をはじめとした支援企業の獲得やスポンサー企業からの増資を得て抜本的な再建策を講ずる方針とみられる。しかし、取引先への支払いこそ遅れてはいないものの、ドイトに約200億円の借入金を自力で返済する余力は残されていないようだ。

 メーンバンクのみずほ銀行は、系列の経営コンサルティング会社を通して再建を後押しする考えだが、何故か積極的ではないという。

 ドイトは1972年に埼玉県の旧与野市に第1号店を開店したのが始まりとされる。埼玉県内では、ベイシアグループのカインズ(本社は群馬県)やジョイフル本田(茨城県)ほか大手HCが積極的に出店攻勢を続けており、競争が熾烈になっている。

 HCが日本に登場してから30年余り。今や日常生活にとってなくてはならない存在である。日本DIY協会によれば05年度のHCの市場規模は、伸び悩む総合スーパーや百貨店を尻目に、3兆9880億円と拡大を続けている。

 大手HCは積極的な店舗展開に加え、店舗の大型化を進めるなど、その競争は激化の一途で、なかには競争の波にのみ込まれるものも少なくない。規制緩和の申し子であるHCは、中小HCを吸収しながら業界再編で増殖を続けている。

   

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