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阿部重夫編集長ブログ「最後から2番目の真実」

2008年07月15日

9年前の7月、私はイランにいた

The Economist誌の最新号(July12th-18th)の記事にはっとした。

Iran and the Economist SILENT NO MORE

と題する記事である。9年前の同誌の表紙の写真が載っている。血痕のついたTシャツを掲げ、緑のハチマキを巻いた青年の写真だ。その表紙には見覚えがあった。

投稿者 阿部重夫 - 09:00| Permanent link | トラックバック (1)

2008年04月03日

無断のパクリ、朝日新聞のお粗末

3月30日付の朝日新聞朝刊2面に「『北朝鮮支援の核施設』 シリア空爆でイスラエル首相」という見出しの記事が掲載された。本文をここに引用する。

2月に来日したイスラエルのオルメルト首相が福田首相と会談した際、昨年9月にイスラエル軍が空爆したシリア国内の施設が、北朝鮮の技術支援を受けた建設中の核関連施設であるとの見方を伝えていたことがわかった。イスラエル政府は空爆の事実だけ認めているが、標的とした施設の種類については明らかにしていない。同政府首脳が外国政府に「核施設」との見方を示したことが明るみに出たのは初めてだ。

政府内には「事実は確認できないが、首脳会談という公式の場で伝えられた意味は大きく、信憑(しんぴょう)性は高い」(外務省幹部)と受け止める一方、「イスラエル側が都合のいい部分だけを伝えた可能性もある」(別の幹部)との見方もある。

初めて? ちょっとあきれた。これはFACTAの昨年12月号(11月20日発売)で外交ジャーナリストの手嶋龍一氏がコラムで「小麦と『アサドの核』と北朝鮮」と題して書き、さらに直近の4月号(3月20日発売)で載せたゴードン・トーマス氏がFACTAに寄稿したスクープ記事「『北朝鮮の核密輸』をモサド暴露」を下敷きにしている。

それを首相官邸か外務省にあてて確認したという記事にすぎない。パクリを隠して、さも一から取材したかのように書いているが、書いた記者と載せたデスクには、恥を知れと言いたい。

投稿者 阿部重夫 - 15:00| Permanent link | トラックバック (0)

2007年12月13日

記者のリテラシー

日経社会部時代の先輩から電話がかかってきた。悪い予感がしたが、案の定、テレビを見たという。先週末の12月7日(金)、BS11デジタル(日本BS放送)の報道番組「INsideOUT」に出て、しばらく落ち込んでいる。ブログに書かなかったのは、編集作業に入ってとても書けない状態だったからだが、内心は思い出すのが怖かったこともある。

先輩には予防線を張った。「いやあ、見ないで。トチってばかりだから」。

「ま、君は前から滑舌系じゃないからね」と言われた。だろうなあ。

投稿者 阿部重夫 - 09:00| Permanent link | トラックバック (0)

2006年02月10日

北海道新聞は死んだか

熊本日日新聞(熊日)の日曜コラム「論壇」に月1回のペースで寄稿している。昨年12月にはこのブログの初回のテーマと同じ「ソニーを蝕むウイルス」を載せた。正月は特別紙面建てでお休みとなり、2月5日掲載の順番が回ってきた。熊日に遠慮して5日あけたから、もうここに載せてもいいだろう。

南と北で地域が違うとはいえ、同じ地方紙の報道への問いかけだから、掲載してくれた熊日の勇気に感謝する。見出しは「調査報道の復権を」だが、読めばおわかりの通り、北海道新聞または調査報道そのものに「死んだか」と問いかけるのがテーマである。

割愛した道新編集局長の名を復活させるなど、熊日版とはわずかな異同がある。これは「最後から二番目のバージョン」と言っていい。

投稿者 阿部重夫 - 06:00| Permanent link | トラックバック (3)

2006年02月09日

2月5日の30周年記念日

「2・5会」という会合がある。1976年2月5日を記念して、毎年2月5日に一同結集する会である。曜日の都合で、それが今年は2月8日、つまり昨夜になった。

しかしその日付を言っても、何が起きたか覚えている人は少なくなった。私は忘れない。すくなくとも生涯一記者の原点となった日である。アメリカの上院外交委員会(チャーチ委員会)で、故田中角栄首相の逮捕などにつながるロッキード事件の端緒となった賄賂の話が飛び出した日なのだ。あの日は一瞬、きょとんとして、それからは地獄だった。

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2005年12月26日

斎藤拙堂の「コンテンツ論」に図らずも感心した

面映いけれど、少し「手前ミソ」をお許しください。われわれが創刊する月刊誌「FACTA」と小生のことを書いた記事が、12月26日発売の週刊「AERA」(2006年1月3日号)に掲載されました。小生もインタビューに応じましたので、ご興味があるかたはどうぞ。たいへん温かい記事内容でかえって恐縮ですが、自分の夢の実現がこれから外部の目にさらされると思うと、身の引き締まる思いです。

ロンドン住まいのころ、クリスマス休み明けの「ボクシングデー」は、浮き浮きしてくる日だった。クリスマス・プレゼントの箱をあける楽しみばかりではない。緯度の高いロンドンの12月は冬至までは朝は暗いし、夕方はすぐ日が暮れるしで陰々滅滅の季節だが、冬至が過ぎると、急に空が明るくなる気がする。

せっかくそういう日なのに、暗い話ではバチがあたりそうなので、いっそのこと梅の話でも書こう。姉歯・市河氏弾劾の急先鋒である人気ブログサイト「きっこの日記」だって、ときに冬至のヒマネタを延々と書いて埋め草にしているじゃありませんか。

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2005年12月21日

「コンパウンド」の報道2――言葉狩りのヴェールを破る

まだ風邪が癒えない。もう少しバグダードの話を書きたい。

米軍など駐留軍部隊やイラク移行政府要人、さらに多数派シーア派を標的にした反政府武装勢力のテロ活動を、英語では「insurgency」「insurgence」と呼んでいる。なぜ「revolt」「rebellion」「uprising」という日常語を使わず、ラテン語の「surgo」(立ちあがる)を語源とする難しい言葉をつかうのか。やはり「革命」や「蜂起」を連想させる言葉では正当化もしくは非難の響きがあり、それを無意識に避けようというバランス感覚が編集者や記者に働いて、ラテン系の難解な語彙で「韜晦」(とうかい)するのだろうか。

優れたイラク報道でピュリッツアー賞をとったアンソニー・シャディド記者(ワシントン・ポスト紙)もそこは変らない。でも、彼の著書「夜は近づく」の第5章「insurgency」の言いようのない暗さは、「言葉狩り」のヴェールを破ってイラクの現実を突きつけてしまう。ファクツ(事実)の前でレトリック(形容)は非力なのだ。たとえば、こういう会話だ。

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2005年12月20日

厳重警備の「コンパウンド」に守られる報道

風邪をひいた。喉が腫れて、節々が痛い。日曜は一日寝ていた。青く澄んだ空と、燦々とそそぐ日の光を、窓からふり仰ぐ。きょうはソニーの話はやめよう。

アンソニー・シャディド(Anthony Shadid)の「夜が近づく」(Night Draws Near)を読み始めた。シャディドはAP通信や「ボストン・グローブ」などの記者を経たのち、現在はワシントン・ポスト紙の記者である。2003年の米英軍イラク侵攻とその後の米軍進駐時、優れた現地ルポルタージュを送り続け、2004年にはピューリッツア賞、米国新聞編集者協会賞などを受賞した。

オクラホマ生まれだが、その名からしてアラブ系で、先祖はレバノンのマジューン出身だから、「中東は故郷であり、私はアラブのルーツを抱擁し、その言語を学んできた」という。「人種の坩堝」のアメリカで、亡国のバックグラウンドを持つ人間は少なくないに違いない。しかし、ワシントン・ポスト紙で一読したときから、彼の文章に魅せられた。

なぜだろう。説明できないもどかしさ。ルポが本になって出版され、年末の「The Economist」誌の2005年の良書の一冊にも挙げられたのを見て、アマゾンで買ってみた。読み始めてわかった。彼の魅力は、その耳にあると思う。

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2005年12月14日

「最初のジャーナリスト」とトマス福音書

サーバーの容量アップにしばらくかかるので、ソニーの話題に戻るのにもう少しお時間をお借りします。

ソニー論のブログを読んだ読者のなかに、「直あたり」という言葉を理解していただけない人がいたらしい。どうもマスコミの業界用語を不用意に使ったようで、要すれば「取材」という意味である。その延長線でジャーナリスト論を試みよう。

人類の歴史で一番古い職業は「娼婦」、二番目は「スパイ」と、おおよそ相場が決まっている。では、ジャーナリストという職業はどれくらい古いのか。

投稿者 阿部重夫 - 06:00| Permanent link | トラックバック (3)

2005年12月13日

自分の恥部に「ぼかし」を入れるジャーナリズム

このブログに「想定外」のアクセスが殺到、サイトにつながりにくくなっていることをお詫びします。サーバーの容量を上げるなどの対策をとります。

少し湯ざましに道草をしよう。本当はソニーBMGの音楽CD「スパイウエア」問題を続いて取り上げる予定だったが、このまま過熱状態だとアクセス障害が続くので、「本物のスパイ」の話に寄り道したのちに本題に戻ることにします。

とは言っても、生ぬるいネタにはしたくないので、日本のブログ、とりわけニュースの断片に飛びついて過激なコメントを書き連ねるブロガーに苦言を呈する内容にしよう。

投稿者 阿部重夫 - 06:00| Permanent link | トラックバック (6)


* 発行人 阿部重夫 *

編集長 阿部重夫

1948年、東京生まれ。東京大学文学部社会学科卒。73年に日本経済新聞社に記者として入社、東京社会部、整理部、金融部、証券部を経て90年から論説委員兼編集委員、95~98年に欧州総局ロンドン駐在編集委員。日経BP社に出向、「日経ベンチャー」編集長を経て退社し、ケンブリッジ大学客員研究員。 99~2003年に月刊誌「選択」編集長、05年11月にファクタ出版株式会社を設立した。

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