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阿部重夫編集長ブログ「最後から2番目の真実」

2009年01月20日

オバマ新大統領就任

米国時間の1月20日、日本時間では1月21日(水)午前2時に、いよいよオバマ新大統領の就任式がワシントンの議会議事堂前で行われる。新大統領の就任式といえば、アメリカでは国王の即位式典にも等しく、4年または8年ごとのお祭り騒ぎである。とりわけ今回は史上初の黒人大統領の誕生とあって、ワシントンポストの記念特別号は飛ぶように売れ、Tシャツやマグカップなどの「オバマ・グッズ」も大盛況だとか。空前の盛り上がりの経済効果は、17日~20日の4日間だけで、およそ10億ドル(約900億円)と試算されている。

この期待の高さは、それだけ今のアメリカが経済も対外政策もどん底であることの裏返しでもある。それを誰よりも実感しているであろうオバマは、意識して自分をリンカーンになぞらえる。自身と同じくシカゴ出身で、人種差別と戦い、南北戦争の試練を乗り越え、戦後は政治・経済とも傷ついたアメリカに宥和を訴えた大統領に。オバマが大統領選に出馬宣言したのも、若きリンカーン弁護士が過ごしたスプリングフィールドの地だ。オバマはこの1月17日には独立宣言の地、フィラデルフィアから特別列車でワシントン入りしたが、これもリンカーンの例を踏襲したもの。20日の就任式では、リンカーンが使った聖書に手を置き宣誓するというのだから、まさに「リンカーンづくし」である。

投稿者 阿部重夫 - 18:00| Permanent link | トラックバック (0)

2008年01月25日

手嶋龍一×阿部重夫「米大統領選を100倍楽しむ」トークイベント4――度はどんなツケを日本は払うか

トークイベント抄録の最終回です。日米関係、とりわけ外交と通商面でどこにはね返るかを論じました。

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阿部 今、日米関係は大きな岐路に立たされています。安倍政権時には、テロ特別措置法の延長問題や沖縄の普天間基地移転問題、従軍慰安婦問題などで、日米の不協和音が目立ちました。米大統領の政権交代は今後の日米関係にどう影響しますか?

手嶋 共和党政権に比べて民主党政権の方が日本に対して辛口であるとか、ヒラリー候補は日本が嫌いだから、クリントン民主党政権が出現すれば、日米関係は暗転するという見立ては、間違いと断じるほどではないにしても、俗論の一種でしょう。そもそも、現在は共和党政権ですが、どこが日本に甘いというのでしょう。いまの日米関係のどこが良好なのでしょう。そんな事実はどこを探しても見当たりません。

投稿者 阿部重夫 - 14:30| Permanent link | トラックバック (0)

2008年01月21日

手嶋龍一×阿部重夫「米大統領選を100倍楽しむ」トークイベント3――勝負を決める2つのファクター

手嶋×阿部「米大統領選挙を100倍楽しむ」の抄録版第3回をお送りします。

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阿部 さて、ここで一人飛び入りの方をご紹介します。米国シンクタンク、ハドソン研究所の上席研究員の磯村順二郎氏で、東京とワシントンを往復しながら安全保障の研究と助言をされています。

ヒラリー候補は初の女性大統領を、オバマ候補は初の黒人大統領を目指して接戦を繰り広げていますが、磯村さんは今回の選挙をどうご覧になっていますか。

投稿者 阿部重夫 - 19:30| Permanent link | トラックバック (0)

2008年01月17日

手嶋龍一×阿部重夫「米大統領選を100倍楽しむ」トークイベント2――「アメリカン・トライアスロン」に潜む罠

手嶋×阿部「米大統領選を100倍楽しむ」の抄録第2回をお送りします(第1回はこちら)。

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阿部 予備選挙が集中するメガ・チューズデー(今年は2月5日)で、民主・共和両党の本選候補は大勢が決まるというのが一般的な見方ですが、今年は3月のスーパーチューズデーまでもつれる可能性もなしとは言えません(第1回の図参照)。

手嶋 とりわけ共和党は、各馬横一線といった混戦となっています。過去には夏の党大会まで決着がつかなかったこともありますから、デッドヒートから目を離せません。その共和・民主両党の全国大会は「大統領選の華」といわれます。今回は挑戦者である民主党大会から先に開かれます。党の選挙戦略家たちは、この党大会でどんな政策を打ち出すのか、秘策を練っているのですが、まずは誰が大統領候補になるのか、そして共和党の挑戦相手が誰かが分からなければ、どういった政策を打ち出すのか基軸が定まりません。実は各陣営とも党内の予備選の段階では、あまり明確な政策は打ち出したくない、というのが本音なのです。

投稿者 阿部重夫 - 19:00| Permanent link | トラックバック (1)

2008年01月16日

手嶋龍一×阿部重夫「米大統領選を100倍楽しむ」トークイベント1――「先行指標」ニューハンプシャー

1月15日、FACTAのオフィスの近くにある明治大学紫紺館の会議室で開いた、第3回FACTAフォーラムのトークイベント「アメリカ大統領選挙を100倍楽しむ方法」は、120人の会場が140人の満席になるほど盛況でした。ニューハンプシャーの予備選挙が行われた先週開くことを決めて、きわめてショートノーティスだったにもかかわらず、熱心に耳を傾けていただきました。応募者多数のため抽選となってしまい、応募されながらご招待できなかった方々にはお詫び申し上げますとともに、会場で机のない席を設けざるを得ず、一部の方々に窮屈な思いをさせたことをお詫びいたします。

正直なところ、太平洋の彼方の大統領選挙に皆さんがどれだけの関心をお持ちかな、と半信半疑でしたが、アメリカ滞在が10年を超す手嶋龍一さんの経験も交えた具体的な選挙戦の裏側をじっくり聴いていただき、その関心の高さには驚きました。実はQ&Aの時間がなくなるほど盛りだくさんで、聞き役に徹した私も、内心ご質問をしたい方々には申し訳ないと思いつつ、ついつい面白いエピソードを無情にカットする気になれませんでした。また、飛び入りの形でワシントンのハドソン研究所で上席研究員を務めておられる磯村順二郎氏にもディベートに加わっていただきました。磯村さんも「濃いディベートでした」と感心していらっしゃいました。

会場にいらした聴衆の皆様に感謝申しあげますとともに、このイベントにご協力いただいた方々に心よりお礼申し上げます。なお会場でできなかったQ&Aについては、support@facta.co.jpメールで受け付け、ディベートで盛り込みきれなかった部分について、このブログなどでお答えするつもりです。

さて、当日のトークの抄録を以下、分載しますが、いつものようにチャタムハウス・ルールで行い、オフレコ部分については手嶋氏と協議の上で割愛しました。なお、引用などもご容赦ください。

では、ニューハンプシャーという特異な「先行指標」選挙区のお話から――。

投稿者 阿部重夫 - 16:30| Permanent link | トラックバック (1)

2007年04月17日

ウォルフォウィッツの恋

知人からドラッカーの「私の履歴書」をいただいた。一昨年の11月、亡くなった経営学者である。ウィーンに生まれ、ジャーナリスト出身のこのユニークな存在は、巨大企業GMの組織運営から「マネジメント」という概念を再発見、戦後社会に時代を画した。わが友人にも彼を尊敬する人は多い。

ふと連想したのは、世銀総裁ポール・ウォルフォウィッツのスキャンダルである。コーネル大学で数学や化学を専攻、傑出した頭脳と言われたが、シカゴ大学に移って政治学に転向した彼が「イラク」で失敗し、今また「世銀」で失敗しかけているのは、その「マネジメント音痴」に起因するのではないか。

投稿者 阿部重夫 - 18:08| Permanent link | トラックバック (0)

2006年03月30日

アメリカ番外――サイバーエージェントを「村八分」

ついに、というべきか。3月21日にこのブログで書いた「アメリカ6――ウェブスパムにお灸」が、とうとう日本でもすえられたらしい。先に書いたのは、ドイツの高級車メーカーのBMW本体と、日本の複写機メーカーであるリコーのドイツ法人のウェブサイトが、突如、最大手検索エンジンのグーグルによって検索不能、つまり検索対象から削除された事件である。今度は日本で「お灸をすえられる」会社が出てきた。インターネット広告代理店のサイバーエージェントである。

投稿者 阿部重夫 - 06:00| Permanent link | トラックバック (10)

2006年03月21日

アメリカ6――ウェブスパムにすえるお灸

ライオンが後ろ足で立って威嚇する姿勢を、英語ではramp upという。グーグルのエンジニアであるマット・カッツが個人サイトでその言葉をつかっている。

「Ramping up on international webspam」(海外のWebスパムに警告)

Webスパムとは「迷惑ウェブ」というほどの意味で、擬似的なリンクを張ったり、他サイトへ転送したりして、検索エンジンを欺くサイトを言う。ドイツの高級車メーカー、BMWのサイトがそうした“操作”を行っていたとして、グーグルが排除を宣言したのである。2月4日付のブログでカッツはこう書いている。

投稿者 阿部重夫 - 06:00| Permanent link | トラックバック (0)

2006年03月20日

アメリカ5――最適化の“ウマバエ”

グローバルな資本市場を闊歩する金融資本の寄生性を形容するのに、資本市場のウマバエ(bots)という比喩をつかった。正確には牛や馬にたかるハエの幼虫(蛆)のことである。そういう金融資本論は別して珍しくない。ちょっと古典的すぎるが、オーストリア生まれで社会民主党の理論家だったルドルフ・ヒルファーディング(1877~1941) の「金融資本論」(Das Finanzkatial)をご覧ください。しかし、そういう「寄生」がインターネットの「あちら側」でも起きているとき、ネットのユートピアにうさん臭さを感じるのは私だけだろうか。

投稿者 阿部重夫 - 06:00| Permanent link | トラックバック (0)

2006年03月19日

アメリカ4――つまんない2兆円買収

切込隊長の口真似をすれば「つまんない事態」になった。3月17日、ソフトバンクがボーダフォンの日本法人買収で合意したと発表したことだ。日本法人の株97%を1兆7500億円で買い、さらに2500億円の債務も引き受けるから実質2兆円の買収である。出来の悪いポルノでも見ているような、あっという間のクライマックス。「つまんない」と思うのは、あまりに「想定内」で意外性がないからである。

孫正義社長、やっぱり焦ったとしか思えない。17日夕の会見で「安くも高くもない、いい値段だ」と言ったが、どうみてもこれは強がりで、高値づかみだったと思う。危惧する質問に対して「時間を買った」と言い張るあたり、本人も内心それを自覚しているのだろう。孫氏と社外取締役仲間とはいえ、ボーダフォンCEO、アルン・サリーンは連戦練磨のインド系経営者である。すっかり足元を見られていたような気がする。

投稿者 阿部重夫 - 16:30| Permanent link | トラックバック (0)

2006年03月17日

アメリカ3――孫正義が青ざめる「何でもあり」

携帯電話のことならこの人に聞け、というべき三田隆治君が久しぶりにオフィスに訪ねてきた。ダイエットしたのか、心なしか前回会ったときより痩せている。先日、ソフトバンクのボーダフォン日本部門買収交渉の報道があってから、彼の「ケータイAlternative」のブログサイトは果敢に買収反対論を展開、あちこちで評判になっていたのでさっそく聞いてみた。

「サイトの右肩で、アンケートをやってるだろ。ソフトバンクのボーダフォン買収、あなたは賛成?って。答えは、賛成、反対、どちらともいえない、わからないの4種類だけど、今のところ、どの回答が多いの?」

彼は困ったような表情を浮かべた。自身のブログであれだけ反対論を展開しても、「賛成」が多いのだという。へえ、そんなものかね。

投稿者 阿部重夫 - 06:00| Permanent link | トラックバック (0)

2006年03月16日

アメリカ2――欧州版グーグル「クァエロ」

私のあこがれは、ポピュラー・サイエンスのライターである。「ビーグル号航海記」のダーウィンに始まって、「利己的な遺伝子」のリチャード・ドーキンス、「ワンダフル・ライフ」のスティーブン・ジェイ・グールド、「フェルマーの最終定理」のサイモン・シンなどみなほれぼれするような名文家である。数式や化学式など一行も使わない名人芸には脱帽する。

私もウェブ版Nature誌などをときどき斜め読みするが、こちらは専門の学者(ときどきイカサマもあるが)が投稿しているから、歯が立たないほど難解な論文に突き当たって、ため息をつかせられる。そこでThe Economist誌が年に4回、特集するTechnology Quarterlyに頼ることになる。経済誌だから数式から解放されるし、ニュース性にも敏感だから手ごろな鳥瞰図になる。なかなか手だれのライターがふんだんにいるらしい。

投稿者 阿部重夫 - 11:24| Permanent link | トラックバック (1)

2006年03月14日

アメリカの没落1――寂寥の風景

リセットしよう。「ウェブ進化論」の売れ行きはベストセラー驀進中だし、これ以上(批判的に?)エールを送ることもないでしょう。「元気玉」(理解できますよ)などトラックバックをつけていただいた方々にも感謝します。これからすこし別の方向に舳先を転じたい。

アメリカに夢があると信じられない。梅田望夫氏との違いは単にそれだけだったと思う。アメリカというと私の思い浮かべるイメージは、荒涼とした平原に置き去りにされた無人のトレーラーハウスである。都市に林立するハイライズも、毒々しいラスベガスも、明るいカリフォルニアも、所詮は絵葉書の世界でしかない。

投稿者 阿部重夫 - 06:00| Permanent link | トラックバック (1)

発行人 阿部重夫

編集長 阿部重夫

1948年、東京生まれ。東京大学文学部社会学科卒。73年に日本経済新聞社に記者として入社、東京社会部、整理部、金融部、証券部を経て90年から論説委員兼編集委員、95~98年に欧州総局ロンドン駐在編集委員。日経BP社に出向、「日経ベンチャー」編集長を経て退社し、ケンブリッジ大学客員研究員。 99~2003年に月刊誌「選択」編集長、05年11月にファクタ出版株式会社を設立した。

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