阿部重夫発行人ブログ「最後から2番目の真実」

2016年2月24日 買われた?東京五輪1――電通への質問状

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読者の皆さんも覚えているだろう。2013年9月7日、ブエノスアイレスで行われた第125回国際オリンピック委員会総会で当時のジャック・ロゲ会長が笑顔で「TOKYO!」と声を発した瞬間を。2020年オリンピックとパラリンピックの開催地に、イスタンブール(トルコ)、マドリード(スペイン)を押さえて東京が選出されたのだ。会場にいた安倍晋三首相ら日本代表団は歓喜の声を挙げて跳びあがり、日本全土に興奮の渦が広がった。

だが、あの歓喜をもたらしたのが、「オ・モ・テ・ナ・シ」の滝川クリステルの笑顔でも、ド下手な英語でプレゼンした当時の都知事、猪瀬直樹の奮闘でもなく、単なる裏金のおかげだったとしたら……。あれから2年半経って、英国でにわかにそんな疑いが強まっている。しかも昨年噴出したロシア陸上選手のドーピング疑惑で、いまやFIFA(国際サッカー連盟)に続く第二のスポーツ・スキャンダル、IAAF(国際陸上競技連盟)疑惑の渦中で飛び出したのだ。

国際陸連のラミーヌ・ディアク前会長とその息子たちが、ドーピングに目をつぶる見返りに賄賂を要求していたことは、フランスの検察当局などの家宅捜索、逮捕などで明かになり、世界反ドーピング機関(WADA)の調査委員会が二度にわたり詳細な調査報告書を発表している。その第二報告書の34ページ、10・7・1「トルコの陸上選手、アルプテキンに関する主要事実」の脚注36に以下のショッキングな記述がある。

Transcripts of the various discussions between Turkish individuals with KD [Khalil Diack] make reference to a discussion regarding the Olympic city bidding process for the 2020 Summer Olympic Games. It is stated that Turkey lost LD’s [Lamine Diack’s] support because they did not pay sponsorship moneys of $4m-$5m either to the Diamond League or IAAF. According to the transcript the Japanese did pay such a sum. The 2020 Games were awarded to Tokyo. The IC did not investigate this matter further for it was not within our remit.

IAAF疑惑がこれでIOC疑惑に飛び火した。FACTAはこのくだりに注目して東京五輪「買収」疑惑の記事を書いた英ガーディアン紙のオーウェン・ギブソン記者に連絡を取った。そしてIAAFと電通がただならぬ関係にあり、その関係がFIFAとアディダスと電通が放映権やマーケティング権などのスポーツ利権で組んだ1980年代に発するものであること、またこの関係の土台を築いた電通元専務、高橋治之コモンズ会長(東京五輪組織委理事)の関与を証言する内部情報があることを知らせた。

もし、東京五輪が“買われた”ことが事実だったら、これは日本の恥ではないか。新国立競技場といい、エンブレムのパクリといい、ケチがつくばかりの東京五輪の不運も、最初からダーティーな影につきまとわれていたのか、何としても確かめなければならない。そして闇で誰が蠢いたのかも。

こうしてFACTAとガーディアンの共同取材が実現、FACTA3月号のギブソン記者寄稿のスクープ「東京五輪招致で電通『買収』疑惑」を掲載することになった。掲載に先立ち、ギブソン記者と弊誌は電通と東京五輪組織委に質問状を送っている。まず電通宛てから紹介しよう。

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電通コーポレート・コミュニケーション局宛て質問状

いつもお世話になっております。

ご承知かと思いますが、1月14日にWADA独立委員会のドーピング報告書第二弾(Dick Pound報告)が発表され、セネガル人のIAAF(国際陸連)前局長Lamin Diack及びその二人の息子と法律顧問への疑惑の詳細が明らかになりました。

英国紙The Guardinanやそれを受けたブラジル紙などが、2020年五輪招致でイスタンブールが東京に敗れたのは、トルコが息子の一人Khalil Diackが要求する400万~500万ドルのIAAF供託金を払わず、東京が支払ったからだと報じています。Khalilとトルコ関係者の間でそうした会話があったとし、Pound委員長は報告はドーピング究明が主眼でそれ以上追及しなかったが、国際刑事機構(インターポール)、仏検察庁が内偵中で、国際オリンピック委員会(IOC)も問題視していると報じられています。

FACTAはThe GuardianのOwen Gibson記者と協力し、「カネで買われた東京五輪」の真相究明を進めています。東京五輪スポークスパースンの小野日子氏は「理解を絶している」とコメントしましたが、内部関係者からの取材により、2029年までの国際陸連主催大会の全放送権とマーケティング権を取得している電通の関与が疑われています。そこでThe GuardianとFACTAの共同質問状を作成しました。

1~5問までがGibson記者の質問、6~10はFACTAの質問です。

1. Given the revelations of widespread corruption at the top of the IAAF, did Dentsu ever have any concerns during the course of its long relationship with the federation?

2. Dentsu gave permission for Papa Massata Diack to act as a marketing consultant to the IAAF in emerging markets. Did it ever have any concerns about this arrangement?

3. Does Dentsu plan to review its contract with the IAAF in light of the most recent Wada report from Dick Pound?

4. What was Dentsu's involvement in Tokyo's bid for the 2020 Olympics? What is its relationship with the organising committee now?

5. The Pound report suggested that Lamine Diack switched his vote from Istanbul to Tokyo after a Japanese company agreed to sponsor the IAAF. What was Dentsu's involvement in this deal?

6. 現在のIAAFのスポンサーはアディダスを除けば、キヤノン、セイコー、TDKと日本企業ばかりで、放送権の最大権料もTBSです。電通とDiack親子(とりわけPapa Diack)が特別な関係にあるからだと批判されていますが、石井直社長や中村潔執行役員ら電通スポーツ局幹部がDiack親子を増長させたと考えますか。

7.FIFAへの資金ルートだった ISL破綻後も、IAAFと電通の関係をつないできたのは元専務の高橋治之氏(五輪組織委理事、コモンズ会長)と言われていますが、事実でしょうか。

8.高橋氏が東京招致にあたり「(アフリカの)40票は自分が取ってきた」と豪語したと伝わっています。電通が高橋氏のコネクションを頼り、親しいディアク氏に説得させてアフリカ票を東京に投じさせたとも言われますが、事実ですか。

9.スイスでISLなきあと、電通の〝財布〟代わりにAthlete Management Servicesが使われてきたのは事実でしょうか。AMSは必然性もないのに、五輪やFIFAイベントなどで電通から業務委託を受け、カネのチャネルになっていますが、今回の供託金もAMSが使われたのでしょうか。

10.弊誌既報の通り、石井直社長は北京世界陸上終盤の8月29日、ディアク前会長とガラの会場で会っていますが、電通は疑惑発覚後にディアク側と連絡を取りましたか

質問は以上です。お忙しいところ恐縮ですが、締め切りの都合もありますので2月8日(月)までにご回答いただければ幸いです。

2月2日

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回答は次回にしよう。