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講談社のノンフィクション本で、かつて日経の同僚だった牧野洋君の『官報複合体 権力と一体化する新聞の大罪』(1680円)と、朝日新聞記者の大鹿靖明君の『メルトダウン ドキュメント福島原発第一事故』(1680円)が、それぞれ売れていると聞く。
牧野君とは欧州で一緒に仕事をしたし、先日、アメリカから帰省されたときも、お土産をいただいた関係でもあるので、書評は遠慮して推薦だけにとどめよう。大鹿君も優秀なジャーナリストとしてよく知っているので、慶賀に耐えない。
そこで『メルトダウン』。FACTA最新号でも「崖っぷち東電」特集としてインタビューを含め5本の記事を掲載しているので、震災1周年というだけでなく、今もホットイシューだから、ここで取り上げたい。
投稿者 阿部重夫 - 16:47| Permanent link | トラックバック (0)
やっぱり深追いすべきだった、とちょっと落ち込んでいました。
AIJ投資顧問は昨年7月に取材を開始していたのにスクープにできなかった。当時の証券取引等監視委員会は、そんなクレームはいくらでもあるといった反応で、せっかくの端緒が生かせなかったのは反省。
一方で、この週末にFACTAのスクープ報道の正しさが2つ証明されました。それをささやかな慰みとしましょう。
ひとつは26日に読売が報じたネクスコ西(西日本高速道路株式会社)疑惑。新名神高速道路の建設で価格が入札前に漏れたとの疑いで、清水建設社員宅などに兵庫県警が偽計容疑で家宅捜索した。これは本誌2011年8月号の「また『蛆』がわいたNEXCO西」で報じたものがやっと実ったということです。公取への「談合ですよ」とのメッセージでもあったわけですが、地元の警察が入ったのですね。
投稿者 阿部重夫 - 11:00| Permanent link | トラックバック (0)
ブログを再開した途端に、東京地検特捜部がオリンパスの前社長兼会長、元副社長ら3人を逮捕したとの報が入ってきた。容疑は金融商品取引方違反(有価証券報告書の虚偽記載)である。
ここまではすべて予想どおりで、意外性はない。
ただ、関与したグローバル・カンパニーの横尾宣政社長やアクシーズ証券の中川昭夫ら旧野村組など4人も一気に逮捕したのはちょっと意外。下手をすると、彼ら飛ばし請負人を立件できないのでは、と危惧していたが、ようやくメスが入る。期待としては海外にまで捜査の手を伸ばしてほしいということだ。
密かに心配だった自殺者が出ていないのは幸いである。店晒しのプレッシャーに耐えられなくなって死人が出てしまうと、とたんに世論の潮目が変わり、捜査が急に失速することがよくあったからである。
関係者が次々に呼びこまれるだろうが、「洗いざらい喋ってすっきりした」という心理はいいが、何のために会社に尽くしてきたのか、と空しくなって、自己懐疑の泥沼に陥ることがないよう祈りたい。
投稿者 阿部重夫 - 16:05| Permanent link | トラックバック (0)
訃報に接した。元国税庁長官の磯辺律男氏が亡くなった。12日の日曜に永眠されたと知らされた。私は社会部初年兵時代にロッキード事件に遭遇し、国税庁クラブの応援に駆り出された際、東京国税局長だった磯辺氏のお世話になった。
ほとんどネタは取れなかったが、右往左往している若い記者を鷹揚に受け入れてくれた。今日の私があるのは彼のおかげです。毎年、2月5日はロッキード記念日。「2・5会」と称して当時の国税記者と国税職員が集まって磯辺さんを囲む会を開いていたが、2月3日に開いた今年の会には入院中で出席できなかった。去年までは飲みっぷりもよくお元気だったが、主賓不在のその会から10日足らずでお亡くなりになったのは寂しい。
享年89歳。小生はまだ往生できずにあくせく事件を追いかけています。いつも奥様から会で配られるバレンタインのチョコに、お礼も言えず、人知れず涙がほほを伝いました。
さようなら。私にとってのロッキード事件は磯辺さんがすべてでした。
投稿者 阿部重夫 - 08:00| Permanent link | トラックバック (0)
編集期間なので、しばらくブログはお休みします。
「ついに出たグロスマン『人生と運命』邦訳」のブログについて、大阪大学の方からご指摘がありました。最後の作品『すべては流れゆく』を未訳としましたが、『万物は流転する』というタイトルで1972年に邦訳されていたようです。中田甫訳、勁草書房の現代ロシア抵抗文集の第六巻。知りませんでした。ご指摘ありがとうございます。ただ、入手はちょっと骨。齋藤さんには新訳をお願いしたい。
タイトルがヘラクレイトスから来ていることは察せられるが、グロスマンはどういう意味で使ったのだろう。読んでいないからわからないが。
投稿者 阿部重夫 - 23:00| Permanent link | トラックバック (0)
2007年12月6日のこのブログ「何を今さらカラマーゾフ」でこう書いた。
ロシア語は私の領分でないから言うが、日本のロシア文学者はそもそも怠惰ではないか。ずっと待っているが、いまだに翻訳されない大著がある。ワシーリー・グロスマンの「人生と運命」(Zhizn i Subda)。軍史家のアントニー・ビーバーが英訳した「赤軍記者グロースマン 独ソ戦取材ノート1941-45」のほうが先に邦訳が出てしまったのは皮肉で、ロシア文学者にとっては恥ずべき事態でないのか。
これは、光文社文庫版の亀山郁夫訳『カラマーゾフの兄弟』に時ならぬブームが起きたとき、それを批判した文章だった。それから4年余、ついにみすず書房から齋藤紘一訳『人生と運命』1が出版された。
江湖の喝を癒す、と大仰に言う気はないが、拍手を送りたい。実はあのときHarvill版の英訳ペーパーバック871ページを読み始めていた。第2部まで入って、おおよそ半分まで達したが、人物が多くて錯綜し、しかも虚構の人物と実在の人物が交錯しているから、迷子になって頓挫した。
しかも英訳版は登場人物リストがあるだけで(邦訳もそれは踏襲している)、注もなければ地図もない。トルストイの『戦争と平和』だって、日本人は注と地図なしには読めない。20世紀の『戦争と平和』と言われる『人生と運命』も、スターリン時代のロシアの基礎知識がない人にはハードルが高い。
投稿者 阿部重夫 - 17:00| Permanent link | トラックバック (0)
2011年12月号「決定版オリンパス『不正人脈』」の記事8ページ3段目の「同窓生である安城市の建設業者、日下成人氏」から「同窓生である」を削除し、図中の「旭丘高同窓」を削除します。
日下氏から、巨額損失隠しの中心である菊川剛会長の出身高校、愛知県立旭丘高校の「同窓」ではなく、「愛知県立安城東高校」出身であるとのご指摘をいただき、卒業証書のコピーまで頂戴したからです。その他の記述については、具体的な根拠の開示がなく、取材にも応じる意思がないことを明言していますので、そのままとします。
日下氏は記事掲載前に二度にわたる本誌の電話取材を拒否し、その後も取材されたことについては知らぬ存ぜぬで、再度の確認に「取材には応じないことにしている」との返答をいただきました。さらにいったんは本誌と面会を約束しておきながら、理由不明のまま直前にキャンセルするなど一貫しない対応でした。その点については何の言及もありません。
投稿者 阿部重夫 - 08:00| Permanent link | トラックバック (0)
1月31日の定例会見で、斉藤惇東証社長はオリンパスの上場維持と特別注意銘柄への指定についてこう述べていました。
「間違った判断だとか、意外だったとの声はあまり聞こえていない」
鼻白む、とはこれを言う。まわりに異を唱える人がいない環境で、聞こえてこないとは情けない。知人から、こんなメールが届いた。
東証と二人三脚で市場浄化を進めるセックの元調査官で「粉飾ハンター」の異名を持つ 公認会計士の宇澤亜弓氏が最近、自らのフェイスブックで、甘い判断を下したとして東証を批判、さらに虚偽記載を行った企業に厳しい措置をとらないままでは「粉飾大国」になると強い危惧を 吐露していました。
知り合いの宇澤氏ですが、すでにセックを退いたとはいえ、口数が少ない元調査官としては異例の発言でもあり、個人的にはおもしろいと思っていますし、やはり、これが世間の相場観だと思います。
さっそく宇澤氏のフェイスブックをのぞいてみた。うなずける。FACTAは「粉飾ハンター」の意見と同じである。
投稿者 阿部重夫 - 20:00| Permanent link | トラックバック (0)
1948年、東京生まれ。東京大学文学部社会学科卒。73年に日本経済新聞社に記者として入社、東京社会部、整理部、金融部、証券部を経て90年から論説委員兼編集委員、95~98年に欧州総局ロンドン駐在編集委員。日経BP社に出向、「日経ベンチャー」編集長を経て退社し、ケンブリッジ大学客員研究員。 99~2003年に月刊誌「選択」編集長、05年11月にファクタ出版株式会社を設立した。
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