阿部重夫発行人ブログ「最後から2番目の真実」

2011年10月17日 [leaks]次号にオリンパス独走報道第3弾掲載!

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FACTAの愛読者はもうよくご存じでしょう。オリンパスのスキャンダルについては、8月号に掲載した「企業スキャン オリンパス――巨額M&A失敗の怪」以来の調査報道とスクープで報じた通りです。14日朝に突如、マイケル・ウッドフォード社長の解任が発表され、株価が1日で17.6%も値を下げたことも、記事をご覧になっていれば意外とは思わなかったはず。

この一連の記事に、わずか半年で外国人社長が解任された理由のすべてが書いてあります。一部のメディアで言われているような、外国人経営者を排除する日本の島国文化だとか、菊川剛会長が会見で言った「独断専横」とか、お家騒動とかの文化摩擦説はすべてこじつけにすぎない。守屋武昌防衛省次官、木村剛日本振興銀行会長などなど、FACTAの調査報道の対象になった面々の獄門台に、またひとつ新しい首が並ぼうとしているということです。

M&Aに絡む巨額の不正を隠ぺいしようと、口封じの社長解任が実態。それを裏付けるのは、英経済紙フィナンシャル・タイムズの東京駐在ジョナサン・ソーブル記者が書いた「Ex-Olympus chief questioned payments」(前オリンパス社長が支払いに疑問)の記事である。

このインタビューでは、前社長自身が解任理由を明かしている。オリンパスが2008年に2700億円を投じた英社ジャイラスの買収をめぐって、買収の際のフィナンシャルアドバイザー(FA)だったケイマン籍のAXAMに買収総額の3分の1に値する6億8700万ドルも支払いながら(手数料にしては巨額すぎる)、3カ月後にAXAMが消えてしまった不可解を経営陣に問いただしたところ、いきなり首を切られたというのである。

まさに虎の尾を踏んだのだ。記事の第1弾はフリー公開にしたのでご覧いただきたい。そのタブーをFACTAは追及していた。ウッドフォード前社長の疑問は至極当然だった。菊川会長が目くらましに据えた「お飾り社長」とはいえ、われわれの追及と同じ疑問を前社長も抱いたのだろう。代表取締役が善管注意義務を果たして何が悪いのか。

このブログでも二度にわたりFACTAはオリンパスに公開質問状を送っているが、「適切な開示をしており、お答えすることはありません」と一貫して知らぬ存ぜぬだった(第1回第2回)。が、社長解任によってわれわれの質問状がまさに「菊川オリンパス」の機微に触れるほどの痛撃だったことが証明された。

それにしても情けないのは、解任発表当日の日本経済新聞電子版に載った「オリンパス株急落、『お家騒動』に視線厳しく」である。まったくのアウト・オブ・ポイント。冷たいことを言いますが、上っ面をなぞるだけ、言いなりの記事を書くのが日本を代表する経済紙記者の存在意義ではないだろう。例えオリンパスが気前のいい広告スポンサーだとしても、ネガティブなことを書くのを避けることは、メディアとして自分の首を絞めるに等しい。

記事では三菱UFJモルスタ証券や野村証券のアナリストのコメントを引用して他人の口に語らせているが、アナリストたちが何を踏まえて喋っているかは明らかだろう。オリンパスが言う文化摩擦の言い訳など表向きのことで、特別背任が疑われる事件の隠ぺいの可能性が一言も書けていない。

もうひとつ。解任前日の13日にオリンパスを「買い推奨」と書いたゴールドマン・サックスのレポートも「秀逸」だった。曰く、今後24か月の目標株価は3800円…。が、とんだ高望みの株価予想をつけた翌日、一日で2000円すれすれまで17%以上急落している。ウッドフォード社長のリストラに期待、とあるが、その社長がリストラされたんだから笑えない。しかも翌日に。「買い推奨」で買った株主にどう言い訳するのか。ディレクターズカットのバリエーション手法とやらの前に、情報を嗅ぎ分けるスキルを身につけることをお奨めしたい。

オリンパスの投資判断を「中立」→「買い」に引き上げ、コンビクション・リストに採用、今後24 ヵ月の目標株価を3,800 円(上値余地57%、従来は今後12 ヵ月ベースで2,400 円)とする。同社の軟性内視鏡市場における圧倒的な競争優位性から、今後2-3 年で同社の収益構造は大幅に改善すると予想、真のグローバル医療機器銘柄への変貌を遂げると考える。

しかし、過去にオリンパス株が、指数を常にアウトパフォーム(凌駕)してきたといいながら、11年前の2000年までしかあげず、菊川氏が主導したこの10年のデタラメに目をつぶったのはなぜか。まさか自己資本を浪費しているオリンパスの増資をにらんで、ここでドッコイショして主幹事をさらおうという魂胆ではあるまい。

さて、最後にお知らせ。弊誌は10月20日発売(ウェブは18日正午)の次号に、調査報道第3弾「オリンパス窮余の社長解任」を載せます。お楽しみに。