阿部重夫発行人ブログ「最後から2番目の真実」

2011年7月15日 [leaks]FACTAleaks――オリンパスへの公開質問状と宣戦布告

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デジタルカメラや医療用装置のメーカー、オリンパス(東証一部)に対し、FACTAは株主総会前に下記のような質問状を送りました。

しかしながら同社広報・IR室の返答は、菊川剛会長へのインタビューを「時間の都合がとれない」と断り、各項目については「適切な開示を行っていると考えているので、お答えすることはない」とゼロ回答にひとしいものでした。

なるほど、FACTAをナメていらっしゃいますね。これだけ懇切に尋ねたのだから、シッポはつかんでいますよ。ほっかむりさせないために、質問状をここで公開します。

念のために申し上げましょう。日本経済新聞系のテレビ愛知社長を退任した来間紘氏が、オリンパス取締役に就任されました。来間氏は小生の尊敬する先輩です。菊川会長以下の経営陣の方々は、FACTAおよび小生がどういうジャーナリズムかをご存じでなければ、来間取締役にお尋ねください。

今月20日発売(オンライン版の掲載は18日)の最新号で、オリンパスの暗部を明るみにさらすことをお楽しみに。ぜひとも、震えながらお待ちください。

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オリンパス株式会社
広報・IR室

オリンパスM&Aについての質問状

ファクタ出版株式会社
月刊誌FACTA発行人 阿部重夫

拝啓

梅雨の候、貴社いよいよご清祥のこととお慶び申し上げます。弊誌は調査報道を中心とした月刊総合情報誌で、貴社のM&Aについて取材をお願い致したく、質問状を差し上げる次第です。

貴社は6月17日に業績見通しを発表されましたが、株式市場では評価が二分しており、高いレーティングをつけるアナリストは業績見通しを評価し、低いレーティングを付けるアナリストは貸借対照表の中身を気にしています。

貸借対照表を気にする向きは、貴社には2008年頃から十分な情報開示がなされていないM&Aがあると指摘しており、弊誌編集部が取材を進めたところ、アルティス、NEWS CHEF、ヒューマラボという3社の社名が浮上、単独ベースの貸借対照表などから判断して08年3月期に最大で800億円を支出して3社を買収したのではないかとの推論に至りました。

そこで、御社に直接取材をお願いしようと考えた次第です。主な質問項目は以下の通りです。

(1)事実関係の有無

これら3社を買収した事実の有無、それぞれの買収金額(あるいは合計買収金額)は上記のように800億円ほどと考えてよいかどうかについて伺いたい。

(2)買収金額の不合理 

取材では、アルティス、NEWS CHEF、ヒューマラボはいずれも05年に設立されたか、休眠会社を業態転換させて営業を再開させた会社であることが判明しています。信用調査会社の調べでは、08年時点での売上規模はいずれも2億円ほどであり、業績面でも履歴面でも背景が希薄な会社の買収に数百億円もかけるのは常識的ではありません。場合によっては、3社の株式を買い取ったグローバル・カンパニー社に対する利益供与も疑われますが、御社の見解はいかがでしょうか。

(3)減損処理 

決算公告によると、アルティス、NEWS CHEF、ヒューマラボの3社は、すでに債務超過に転落し、アナリストなどによれば、貴社がそれらの株式については買収したわずか一年後には一括して減損処理を済ませたとみられる、と聞きます。

a、アナリストたちの言うように、減損処理は済ませたのでしょうか。

b、(済ませたのであれば)09年3月期に計上した特別損失のうち、これら3社に関連した損失はそれぞれいくらでしょうか。

また3社について、その後に追加計上した特別損失の有無について。

c、上記のような一連の動きを考えると、子会社化の決定には重大な判断ミスがあったと考えられますが、貴社ではどのような御認識でしょうか。取締役の善管注意義務違反はなかったとお考えですか。監査役は業務監査や会計監査を十分に果たし、違反はないとお考えでしょうか。違反がないとお考えなら、その理由は? また株主への説明責任についても併せて伺いたく思います。

(4)ジャイラスについて 

貴社が買収する以前にジャイラスが公表していた財務数値によると、06年12月時点でジャイラスの総資産(4億6000万ポンド)の半分以上が「のれん代・営業権」(2億5300万ポンド)で占められており、製造業としても医療機器メーカーとしても、その貸借対照表は極めてアンバランスであると思われます。

a、のれん代・営業権が過大と思われるジャイラスに対して、さらに貴社がのれん代を上乗せして買収した形になっていますが、この買収のファイナンシャルアドバイザーはどの会社で、貴社にどのような説明をしたのでしょうか。またその説明に対して、貴社ではどのようにお考えでしたでしょうか。

b、ジャイラスの買収にあたって、株価上40%ものプレミアムを上乗せし、さらに一千億円の優先株まで追加購入したことについて、オリンパス本体の監査法人及び、海外子会社の監査法人はのれん代等について、どのような会計処理を求めていますか? また優先株の購入先がどこかについても伺えれば幸いです。

c、ジャイラスの「のれん代」は、オリンパスの連結貸借対照表上、どの科目に計上されていますか?

(5)純資産について

貴社の連結貸借対照表で「純資産の部」をみると、「その他包括利益の累計額」が987億円のマイナス、外貨換算調整勘定にいたっては1008億円のマイナスとなっています。売上高や資産規模が同程度の同業他社と比べてもマイナス幅が極端に大きく、アナリストからは「何らかの損失が未処理のまま隠れているのではないか」と疑う声もあります。この点についても説明をお願い致します。

以上の点について、ご回答をお願いするとともに、菊川剛会長への面会も併せてお願いする次第です。ご多忙中とは存じますが、弊誌は次号締切の都合上、1週間後までにご返答、もしくはインタビュー等のご都合を伺えれば幸いと存じます。よろしくご一考のほどお願い申し上げます。

敬具

6月24日