阿部重夫発行人ブログ「最後から2番目の真実」
FACTAleaks――対セラーテム戦争12 やっぱり「裏口」が好き
2010年09月27日
そろそろブログを再開しよう。
9月15日、セラーテムの株主総会が開催された。毎月20日発売のFACTAにとって、締め切りの都合上、ほとんどカバーできないタイミングだった。10月号に掲載した続報記事は既に校了済み、民主党代表選の記事を下版の直前に突っ込むため、小生は編集部から離れられない。
そこでフリージャーナリストの田原真司君に取材を頼んだ。セラーテムに関する調査報道は、日本と中国の複数のジャーナリストから協力を得ている。田原君はその1人で、中国語も堪能だ。8月6日の決算説明会では小生に同行し、北京にも行ってもらった。今回あえて彼の名前を出した理由は、おいおい説明しましょう。
さて、セラーテムの株主総会は9月15日午前10時から、東京赤坂の山王健保会館の2階会議室で行われた。もちろんFACTAは株主ではないから、会場内には入れない。取材の主目的は、総会後に会場から出てくる役員や株主から話を聞くことである。
山王健保会館は関東ITソフトウェア健康保険組合のビルで、出入口は外堀通りに面した正面玄関と裏側の従業員通用口の2カ所。総会が行われた2階には、会議室のほかに喫煙所を兼ねた休憩スペースとトイレがあるだけだった。“張り込み”には好都合だ。
開会20分前、休憩スペースから廊下越しに会議室の様子をうかがっていると、宮永浩明取締役CFO(最高財務責任者)と鉢合わせした。彼は動揺した表情で「田原さん、もしかしてうちの株主ですか」と向こうから聞いてきた。
「まさか。会場の外で取材するのは自由でしょう」と返したところ、宮永氏の脇にぴったり寄り添っていた部下(ネームプレートには「山田」とあった)が、「会場内に関係者はいるのか」と追問してきた。我々を総会屋か何かといまだに勘違いしているらしい。
株主総会は定時に始まり、一度も休憩を挟まず午前11時40分頃終了した。波乱は特になかったようだが、異変が起きたのはその直後。会場から出てきた株主に話を聞こうと近づいていくと、スーツを着た目つきの鋭い男性が「ノー」と言って割り込み、取材を妨害したのだ。明らかに日本人ではない。「なぜ邪魔をするのか」と中国語で聞くと、何も答えずへらへらと笑っている。続けて「あなたは北京誠信の社員か、それともセラーテムか」と問うと、「セラーテム」と答えた。同社が雇った“用心棒”ということらしい。
総会に出席した一般株主は目算で30~40人程度だった。その場の不穏な空気を察したのか、株主たちはそそくさと足早に去っていく。
そこで作戦を切り替え、会議室の前でセラーテムの役員陣が現れるのを待つことにした。ちょうど北京誠信の王暉社長が出てきたので、「日本で裏口上場した目的は何か」とぶらさがりで質問すると、「不回答(答えない)」と言ってトイレに駆け込んだ。王暉氏がトイレから戻った後は、役員は誰も会議室から出てこない。しばらくすると、会議室に弁当が運び込まれた。ここで昼食を取り、続いて取締役会を開くためだ。
2つ目の異変が起きた。セラーテムがビルの管理室に連絡し、警備員を呼んで記者の排除に動いたのだ。警備員の説明によれば、このビルは健保組合の組合員しか利用できない決まりで、非組合員の立ち入りは認められないという。仕方なくビルを出て、正面玄関前の歩道で待つことにした。前述したように、ビルの出入口が正面と裏側の2カ所しかないことは先に調べてある。
しかも、外堀通り側のビルの外壁はガラス張りで、2階の休憩スペースの様子は歩道から丸見えだった。邪魔者を排除して安心したのか、池田社長ら数人の役員と監査役が会議室から出てきてタバコをふかしていたが、1人で手持ち無沙汰そうにしている者、肩を寄せ合いひそひそ話をする者など、立ち位置の違いを観察させてもらった。調査報道では、こういった何気ない情報が後で役に立つことが多いのだ。
取締役会は午後1時頃に始まり、2時10分頃終わったようだ。2時12分、例の“用心棒”が休憩スペースに現れ、記者がまだいることを確かめて奥に消えた。その10分後、ビルの職員が正面玄関から出てきて、「ご一行はもうお帰りになりました」とわざわざ教えてくれた。念のため「裏側の従業員通用口からですか」と確認すると、「間違いない」との返事。さらに10分後、ビルの受付の女性に頼んで会議室をちらりと見せてもらったが、確かにもぬけの殻だった。
“裏口上場”企業だけに、やっぱり裏口が好きらしい。もちろん、FACTAの取材を拒否するのはセラーテムの自由だ。しかし本当にやましいことがないのなら、堂々と正面玄関から出てきて「ノーコメント」と言えばいい。本誌の指摘にまともに反論できす、ひたすら逃げ回る彼らの姿は、もはや滑稽としか言いようがない。
次回からは再び、セラーテムとの質疑応答を公開します。
投稿者 阿部重夫 - 08:00| Permanent link | トラックバック (0)

