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阿部重夫編集長ブログ「最後から2番目の真実」

18日のテイラー教授講演会 司会役はこう思った

2010年03月19日 [FACTAフォーラム]

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FACTA4周年記念企画、ジョン・B・テイラー教授(スタンフォード大学)の講演会とコロキウムは3月18日、東京・有楽町の朝日ホールで開かれ、盛会のうちに終了しました。前日の政策決定会合で新型オペの増額という「追加的緩和」を決めた日銀の金融政策に何らかの示唆を与えることを期待します。

またコロキウムに参加していただいた渡辺喜美・みんなの党代表とエコノミストの高橋洋一氏ほか、関係者に感謝申し上げます。

教授の基調講演は、70年代から80年代にかけて、経済のパフォーマンスが日本では持続的な高度成長、アメリカでは乱高下だったのは、金融政策の巧拙によるものだったという分析から始まった。

この後、日本の「失われた10年」となった90年代は、逆にアメリカのパフォーマンスが安定を取り戻し、日本は金融政策が不安定になり、長い低迷期を経験した。これは日米の金融政策が攻守ところを変えたことになる。

この評価は今やほぼ定説だろう。教授もパワーポイントで70年代のFRB議長アーサー・バーンズとフォード大統領の動画と音声を画面に出してみせたが、70年代の米金融政策の失敗が80年代の混乱を招いたのに対し、日本は金融政策に振れがなかったと言う。

ところが、80年代末には円売り介入と金融緩和で日本にバブルが発生、その反動で90年代から急激な引き締めと日本の金融政策が揺れ出す。これに対し、ブラックマンデーを経たグリーンスパンFRBは、テイラー・ルールにほぼ沿った金融政策で市場に安心感をもたらした。かくて日本は、繁栄を謳歌する米国を尻目に「失われた10年」を経る。

しかしこの長い低迷期も、最終的に量的緩和によって終止符を打つ。03年の円売り非不胎化介入によるゼロ金利下の量的緩和である。教授は円相場を「失われた10年」の原因と見ていない。長期低迷から日本を救ったのは「通貨供給量の影響」と言う。

さて、ここから本題だ。リーマン・ショック後の日米金融政策は、量的緩和の一点を見れば、アメリカが通貨供給を劇的に増やして1兆2千億ドルに達したのに対し、日本は「欧米ほど金融機関が傷んでいない」ことを理由にさほど増やしていない。

教授は慎重な言い回しだったが、テイラー・ルールに照らすと、アメリカの量的緩和は過剰であり、「日本はもっと量的緩和をすべきだ」という示唆が得られるという。ある市場のセグメントを救うのは金融政策ではないが、FRBはAIGやミューチュアル・ファンド、MBS市場などの救済のために買わざるをえなかったというニュアンスだ。

これらの見方はほぼFACTAと一致する。アメリカの一流のエコノミストと意見を同じくするのはうれしい。教授はバーナンキら東部系のエコノミストには対抗心を燃やすらしいが、この講演会では日米の中央銀行が俎上にあがったと思う。

私とはSFつながり(一度、J・G・バラードの追悼記を本誌に寄稿してもらったことがある)で、クルーグマンの翻訳者でもある山形浩生氏が聴衆のなかにいて、教授に鋭い質問を浴びせていた。それらを含めて次号で詳報を掲載しよう。

(写真:大槻純一)

投稿者 阿部重夫 - 20:00| Permanent link | トラックバック (0)

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* 発行人 阿部重夫 *

編集長 阿部重夫

1948年、東京生まれ。東京大学文学部社会学科卒。73年に日本経済新聞社に記者として入社、東京社会部、整理部、金融部、証券部を経て90年から論説委員兼編集委員、95~98年に欧州総局ロンドン駐在編集委員。日経BP社に出向、「日経ベンチャー」編集長を経て退社し、ケンブリッジ大学客員研究員。 99~2003年に月刊誌「選択」編集長、05年11月にファクタ出版株式会社を設立した。

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