阿部重夫編集長ブログ「最後から2番目の真実」
京セラ稲盛氏に日本郵政社長就任を打診
2009年09月25日
FACTA最新号の目玉は「企業スキャン 京セラ」で、そのタイトルは「鳩山政権『後見人』稲盛の報酬」です。小沢一郎・民主党幹事長の最大のスポンサーである、京セラ名誉会長、稲盛和夫氏(77)の政治との関わりをこれまでにない深さで追ったレポートで、稲盛氏自身だけでなく、京セラ社員を動員しての総選挙での民主党支援に対し、鳩山政権がどんな見返りを用意しているのかを徹底追跡しています。しかし締め切りの関係でどうしても詰め切れなかったことがあり、この連休明けにようやく複数の関係者から事実確認が取れましたので、25日朝のRKBラジオ番組で報じました。それをこの編集長ブログで再録します。
鳩山首相は選挙前に「西川氏には当然、お辞めいただく」と発言しているので、更迭か辞任は必至ですが、民主党首脳が京セラ名誉会長、稲盛和夫氏を後任にしたいと本人に打診したことが明らかになりました。FACTAの最新号は「鳩山政権『後見人』京セラ稲盛の報酬」というトップ記事を掲載していますが、その取材の過程で「ポスト西川」は稲盛との情報をつかんでいました。ただ、最終的な確認がとれず、締め切りに間に合わなかったのですが、連休明けに政府筋から確認できました。
総選挙大勝後の9月1日、小沢一郎民主党代表代行(当時、現在は幹事長)が稲盛氏と横浜で会いました。場所は「みなとみらい」地区のホテル「パシフィコ横浜」。小沢氏は支援のお礼とともに、日本郵政の西川善文社長の後任を引き受けてくれないかと打診したとのことです。正式の返答はまだだが、稲盛氏本人は「乃公いでずんば」と満更でもなかったそうで、最終的には受諾の可能性が高い。
鳩山氏も首相就任前の9月8日、平野博文役員室長(現官房長官)と京セラ東京八重洲事務所に稲盛氏を訪ねていますが、ここでも日本郵政社長就任を要請した可能性があります。
西川日本郵政社長の更迭問題は、自民党政権の歴史的大敗をもたらした「火中のクリ」。「かんぽの宿」騒動で当時の鳩山邦夫総務相が更迭を主張、西川氏が辞任を拒否し、竹中平蔵元総務相の場外応援も得て粘りました。その裏で麻生太郎首相周辺は後任探しを進めましたがなり手がいない。
三顧の礼をもって民間から迎えた西川氏を「使い捨て」にすれば、晩節を汚したくない有力財界人は誰もが尻ごみする。前経団連会長の奥田氏も神通力はなく、まして御手洗経団連では泥をかぶる人もいない。日本郵政には郵便事業部門を率いる元郵政省官僚の団宏明氏もいるが、官僚OBの起用では世論が納得しないでしょう。
この構図は民主党政権になっても変わらず、自民党支持だった財界主流と民主党がどう折り合うかで注目されていました。小沢氏もそれは承知していて、総選挙勝利の直後に電光石火のごとく、稲盛氏に白羽の矢を立てたということになります。確かに総選挙後の1週間で小沢氏の党幹事長就任が決まりましたが、水面下ではさまざまな動きがありました。
たとえば亀井静香・郵政担当相兼金融担当相。大臣就任後の会見で「おれが決める。相談する必要もない」と原口一博総務相をけん制していますが、実は小沢幹事長がとうにポスト西川人事を決めていて、社民党・国民新党との三党連立合意でも、また亀井氏の防衛相から郵政担当相への振り替えも、「稲盛後任」が条件になっていた可能性があります。
FACTA最新号では稲盛氏と政治のかかわりを特集しましたが、京セラの通信事業進出で懇意になった小沢氏を支援する数少ない財界人が稲盛氏です。稲盛氏も第三次行革審で霞が関の猛反発を食らい、細川政権瓦解で京都商工会議所会頭になって雌伏15年を経ました。ここで日本の難題である日本郵政の立て直しに成功すれば、主流派財界人を見返すことができる。
それが小沢氏が稲盛氏に与える最大の見返りではないのでしょうか。
しかしポスト西川は、日本郵政を再国有化する「後退戦」の指揮官です。戦争でも退きながら戦うのは至難の業であり、成功はおぼつかない。かつて郵貯と国債は入口と出口で金利は同率。人件費等はすべて国費投入でまかなってきました。国民新党の主張も26万人、2万4000郵便局のランニングコストは税金を投入せよということに尽きる。
これは民主党が志向する「ちいさな政府」に逆行し、いずれは有権者の反発を食いかねない。稲盛氏が受諾すれば、まさに「火中のクリ」を拾うことになります。
投稿者 阿部重夫 - 11:00| Permanent link | トラックバック (0)
