阿部重夫編集長ブログ「最後から2番目の真実」
10月号の編集後記
2007年09月19日 [編集後記]
FACTA最新号(10月号、9月20日発行)の編集後記を掲載します。
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げに凄まじきは中国、と肩をすくめたくなった。香港の盧四清氏が寄稿した「解放軍内も『江沢民派』一掃」(54~57ページ)の記事のことである。世に「三国志演義」のようなマユツバの中国論はいくらもあるが、現在進行形で胡錦涛vs江沢民の人事抗争の内幕を見せつけられると息をのむ。軍に根を張った前任者の基盤を、爪を剥ぐ拷問のように一つ一つむしる冷酷さ。虫も殺さぬ顔の後継者の前で、江沢民の笑顔は凍りついている。
▼やはり権力は悪なのだ。それに比べて、日本のお坊ちゃん宰相のむくんだ顔が痛ましい。稚拙な人事がたちまち馬脚を現し、自ら引導も渡せない胆力のなさ、見てくれだけの意志薄弱児であることを暴露した。権謀術数のイロハも知らず、鱗翅をもがれていくのは彼のほうなのだ。これじゃ、中国に対抗できません。
▼覇道の中国は、いつ増長と慢心に陥るか知れない。いや、すでにその徴候が見えてきたと最近、香港から帰省した後輩が警告していた。アメリカの衰弱を見透かし、経済でも軍事でも10年以内に凌駕して「世界に冠たるチャイナ」になる、という超強気が横溢しているという。GDP(国内総生産)第2位の日本なぞ、歯牙にもかけない。無知な大衆ばかりか、知識人までもそれを口にし始めた。
▼だが、豊かさは兵を蝕む。盧氏も記事で書いていた。長さの関係で割愛した部分を収録しよう。「多くの日本人にとって、中国軍には滑稽なことが山のようにあるだろう。例えば人民解放軍で最も若い将軍は、オリンピックの卓球男子ダブルスで金メダルに輝いた王涛である。王涛は1992年のバルセロナ五輪で優勝し、10年後の2002年には弱冠35歳で少将に任命された。王涛は現在、軍の八一卓球チーム総監督で、来年の北京五輪の後は中将に昇格する可能性もある。解放軍では3人が国家チームの監督を務めているが、北京五輪で優勝すれば将軍に抜擢されることも夢ではない」
▼「解放軍には歌手、スポーツ選手、監督、詩人、画家から舞踏家までありとあらゆる人材がいる。例えば総政歌舞団所属の歌手で、習近平・上海市党委員会書記の妻、彭麗媛は少将である。北京軍区戦友歌舞団のテノール歌手、馬玉涛は中将だ。長年、毛沢東役を専ら演じてきた八一電影製作所所属の俳優、古月(05年病死)も少将だった」。西欧中世の贖宥状のような「将」の安売り。腐敗の一端が見えるが、こういう脆弱な基盤に立つアロガントな国家はかえって剣呑だ。お人好しではいけない。日本も悪党になれる宰相を必要としている。
投稿者 阿部重夫 - 06:00| Permanent link | トラックバック (0)
