阿部重夫編集長ブログ「最後から2番目の真実」
7月号の編集後記
2007年06月19日 [編集後記] [TCI]
明日の発売日に先んじて、FACTA最新号(7月号、6月20日発行)の編集後記をご紹介します。
先日、このブログで告知したとおり、今号には「ザ・チルドレンズ・インベストメント・ファンド」のアジア部門(香港)を代表するジョン・ホー(何志安)氏のインタビューを掲載しました。編集後記と併せてご覧ください。
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トッチャン坊や――失礼ながらそんな印象だった。電源開発(Jパワー)と電力業界、そして経産省を震撼させた英国のヘッジファンド、TCIからやって来たホー氏の風貌である(本誌12~13ページ参照)。学者然とした30代で、端正で流暢な英語を話す。理路整然としていて講義を聞くようだった。140億ドル(約1兆7千億円)の運用を任されたTCIでアジア・太平洋および日本の統括責任者(香港代表)を務める人には、とても見えない。
▼ふーん、“ハゲタカ”色を払拭するには白人よりアジア人か、と内心思った。シドニー育ちの中国系オーストラリア人で、ピアノ教師の専門資格を持ち、金融と数学を学んだという知的な雰囲気に、つい引き込まれそうになる。遠くを見ながら日々孜々として励む「毎日が長期」の哲学を倦むことなく説く。しきりと口にするのが「マインドセット」(ものの見方)という単語。魂胆は何か、と上目づかいに探りを入れてくる日本人たちの根深い外資恐怖に、眉をひそめていた。
▼無理もない。インタビューの前日、日本のアナリストを集めて説明した会合でも、反応の多くは「外資は短期の利を求めるだけ」という予断に立っていた。ホー氏のファイナンス最適化論は、電源開発の主幹事証券、野村に対する批判にも聞こえるが、野村証券金融研究所のH主任研究員は黙々とメモするだけで質問しない。本誌が「どう反論するのか」と聞こうとしたら逃げの一手。お客大事と敵情視察してご注進に及ぶだけなら、アナリストを名乗る資格はない。
▼日本生命など電源開発の日本側株主も、ホー氏に会わないらしい。「日本のマインドセットが成長をよしとせず、パイを大きくする価値を求めないのなら、私はとても悲しい」。しかし投資は投資である。資金をTCIに長期間固定して運用を委ねた投資家たちが背後にいる。現に40歳のTCI創業者ホーンと、39歳のロシア一の富豪デリパスカ(本誌62~63ページ参照)の間には、英国ロスチャイルド卿の子息ナサニエルという接点がある。その不思議な人脈に、ホー氏の言うきれいごとでは済まない影がちらつく。
▼東電や関電株も買う気はあるかと聞いてみた。「我々は世界的な大インフラ投資家で、公益企業、道路、港湾、空港などに投資している。でも、資金に限りがあるから、ベストの機会に恵まれれば投資を考える」と否定も肯定もしなかった。証券取引所も経済のインフラで、TCIはドイツ証取の株主でもある。で、東証株が上場されたら買うか、と重ねて聞いたら答えた。Why not?
投稿者 阿部重夫 - 06:00| Permanent link | トラックバック (0)
