登録内容の変更新規オンライン会員登録会員サービスについて

阿部重夫編集長ブログ「最後から2番目の真実」

シティバンク、7月に東証上場へ 預託証券でなく株式公開の公算

2007年06月01日 [スクープ]

印刷FACTAブックマークに保存

本日午前11時にFACTAオンラインのメルマガ会員に発信し、その後、ポータルサイト「goo」に特報として掲載されたスクープ記事をフリー公開します。

*   *   *   *   *

日本国内25店舗を持つシティバンク(在日代表、ダグラス・ピーターセン)は、7月にも東京証券取引所に上場する。当初、予想されていた日本預託証券(JDR)ではなく株式公開となる見込み。シティバンクは米国最大手金融機関シティグループの銀行部門だが、日本では年内に5店舗を開店、数年で店舗数を倍増させる計画で、上場で調達した資金はこの対日攻勢にあてる予定である。米国企業の東証上場は6年ぶりだ。

シティグループは4月27日に日興コーディアル証券へのTOB(株式公開買い付け)を成功させ、9200億円で61%強の株式を取得したばかり。会計疑惑で上場廃止の瀬戸際に立った日興の危機を逆手にとって、証券ではリテール(日興コーディアル)とホールセール(日興シティ)の両輪を手に入れたが、もう一つの柱である銀行部門でも東証上場を機に攻勢をかけ、1500兆円の個人金融資産を持つ日本市場で地歩を固めようとしている。

日本のシティバンクは、長く米国シティバンク、エヌ・エイの支店である「シティバンク、エヌ・エイ在日支店」の形態だったが、この3月27日の取締役会で「金融庁長官の認可を条件として、7月1日をメドに日本におけるすべての事業をシティバンク準備会社に譲渡する」ことを決議、4月10日に銀行法に基づいて公告した。準備会社(代表取締役、門田潤)は事業譲渡までに「シティバンク銀行株式会社」に商号変更する。

これは東証上場への下準備と見られる。東証上場自体は、日興に対しシティグループが包括的な資本・業務提携に踏み切る3月以前から計画されていた。 2004年にプライベートバンキング部門の不祥事が金融庁に摘発され、同部門の閉鎖とともに、シティグループ本体のプリンスCEOが陳謝する事態に追い込まれた。以来、日本では謹慎状態だったが、ようやく事業拡大が許されるようになり、2月には日本経済新聞が「年内にも上場申請」と報じた。当初は昨年の信託法改正で可能になったJDRを利用する案が有力視されていたが、海外企業の日本上場を促すJDRの解禁は、改正信託法の政令がいつ出るか見通しが立っておらず、法務省民事局も「施行は一応9月予定だが、今のところ未定」としている。

このため、日興コーディアルのリテール網を手にして、銀行の支店網とシナジー効果を狙いたいシティグループは、施行を待たずに株式上場へ傾いたと見られる。5月には海外企業による日本企業の買収を容易にする「三角合併」が解禁されたが、東証上場を急いだほうが将来、日本企業を買収する場合に有利になると判断した模様だ。

また、JDRは海外企業が海外で発行した株式を裏づけに、日本国内の信託銀行などがこの株式に相当する額のDRを発行して日本で上場させる仕組みだが、その第1号にはシティバンクのような先進国企業よりも「中国やインドなどの魅力ある企業がふさわしい」(金融庁関係者)と政府は考えているようだ。インドなどには自国資本保護から海外投資家の議決権に制限を加えており、東京で上場させるなら株式ではないJDRのほうが容易だし、日本の投資家にとっても海外株相当の証券を円建てで取引できるメリットがある。

投稿者 阿部重夫 - 16:00| Permanent link | トラックバック (0)

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://facta.co.jp/generator/mt-tb.cgi/353

※記事の内容に無関係なトラックバックにつきましては、削除させていただく場合がございます。ご了承ください。トラックバックが正常に動作しない場合はsupport@facta.co.jpまでご連絡ください。


* 編集長 阿部重夫 *

編集長 阿部重夫

1948年、東京生まれ。東京大学文学部社会学科卒。73年に日本経済新聞社に記者として入社、東京社会部、整理部、金融部、証券部を経て90年から論説委員兼編集委員、95~98年に欧州総局ロンドン駐在編集委員。日経BP社に出向、「日経ベンチャー」編集長を経て退社し、ケンブリッジ大学客員研究員。 99~2003年に月刊誌「選択」編集長、05年11月にファクタ出版株式会社を設立した。

* カレンダー *

2007年06月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

* 編集長ブログ更新通知 [RSSフィード] *

RSSとは記事のタイトルや概要を配信するための技術です。RSSに対応したソフトウェアやサービスを利用すると、最新の記事のタイトルや概要が取得できます。詳しくは「RSSフィードについて」をご覧ください。

FACTA online「編集長ブログ」は以下の規格に対応しています。

RSS 1.0
RSS 2.0
ATOM