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阿部重夫編集長ブログ「最後から2番目の真実」

インタビュー:チームラボ社長・猪子寿之氏(4)モノ作りへの情熱

2007年05月15日 [メディア論]

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阿部 ネットビジネスのトレンドはどう変化しましたか?

猪子 黎明期に出てきた会社の多くは営業力や金融に強みを持つところでした。しかし、ここ数年は技術系の会社が非常に伸びています。特にグローバルでは、今や注目されているのは技術系の会社ばかりです。

阿部 Googleや動画投稿サイトのYoutubeはその代表ですね。一方で同じように多くの技術者を抱えるマイクロソフトが苦しんでいるのは何故でしょうか?

猪子 マイクロソフトには優秀なビジネスパーソンが多過ぎるのです。しかし、伸びているニューカマーの会社にはいません。これは非常に大きな差で、技術系の会社には優秀なビジネスパーソンはいないほうがいいんです。

何を馬鹿なこと言っているんだと思われるかもしれませんが(笑)、マーケットを重視する優秀なビジネスパーソンはイノベーションを阻害してしまう。技術トレンドが激しい状況下で必要なのはマーケティングではなく、来るべき未来を盲目に信じて突っ走れるかどうかです。

国内では任天堂がそれに近いですね。「ニンテンドーDS」や「Wii」は技術出身の経営陣だから可能だったイノベーションだと思います。彼らは、ゲーム好きの自分たちがプレイしたいと思えるものがないことに危機感を持ち、自分たちがワクワクできるゲームをもう一度作ろうと考えた。そこにあったのは、高度なグラフィックを実現する最新技術のロードマップではなく、モノ作りへの情熱だったと思います。

阿部 ネットとメディアを議論するときに、どうしても避けられないのが著作権の問題です。Youtubeのプラットフォームを作ったエンジニアの凄みは理解できますが、一方でテレビ番組や映画が勝手に投稿されている問題もあります。

猪子 Youtubeの出現によって本当に誰かが損をしているのかを考えなくてはいけません。記事にしろ、動画にしろ、ネットで見る層とパッケージを買う層は違います。むしろ、今までリーチできなかった層に認知してもらえるメリットの方が大きいはずです。例えば、ドリフやひょうきん族の動画をYoutubeで初めて観た若い人が、面白かったからDVDを買うといったこともあり得るわけです。既に米国ではプロモーションとしてYoutubeを利用するのが当たり前になっています。

阿部 ニュースをネットで課金することについてはどう思いますか?

猪子 一般的なニュースでユーザを囲い込めるかというと難しいですね。コンテンツに差がつく分野でなら課金も成り立つと思いまが、大きな違いがない場合はオープンにしたほうがメリットはあるでしょう。誰もが記事をシェアしやすい仕組みを用意して、サイトに多くのユーザを呼び込み広告収入につなげればいいんです。

オープンにして広告収益を狙うか、特定分野に絞って課金するかの判断は難しいですが、僕自身もクリエイターなので、モノを作る人が儲からないことが良いことだとは思ってません。ひとつだけ確実なのは、いつまでも作り手が儲からないような状態は続かないということです。人間は健全ですからね。ただ、従来のコピーライトの儲け方に固執するのではなく、オープンな情報化社会にあったやり方をしましょうよ、と言いたいのです。

(了)

投稿者 阿部重夫 - 06:00| Permanent link | トラックバック (0)

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* 発行人 阿部重夫 *

編集長 阿部重夫

1948年、東京生まれ。東京大学文学部社会学科卒。73年に日本経済新聞社に記者として入社、東京社会部、整理部、金融部、証券部を経て90年から論説委員兼編集委員、95~98年に欧州総局ロンドン駐在編集委員。日経BP社に出向、「日経ベンチャー」編集長を経て退社し、ケンブリッジ大学客員研究員。 99~2003年に月刊誌「選択」編集長、05年11月にファクタ出版株式会社を設立した。

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