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阿部重夫発行人ブログ「最後から2番目の真実」

吐き気がする「敗軍の将」本間教授の弁

2007年03月12日

本日からブログに復帰する。午前中に次号の編集作業を終えた。

自分が編集中は他人の編集したものなど読む気にはならないものである。だから、先週はろくに新聞、雑誌に目を通していないし、本も読んでいない。FACTAブックマークにもほとんど保存できなかった。編集者が月に一回、こういう空白状態に陥るのは、紺屋の白袴というのか、奇妙なものである。

で、久しぶりに雑誌を手にして、おやおやと思う記事をみつけ、それからおもむろに吐き気に襲われた。

「日経ビジネス」3月12日号の「敗軍の将、兵を語る」である。週刊ポストが配備した延べ10人のパパラッチのカメラにみごとにつかまり、愛人の女性と官舎住まいしている光景を暴露されて、政府税調会長の座を棒に振った本間正明・大阪大学教授である。辞めてどこかへ雲隠れしていたが、同誌上で自ら弁明を語ったという次第だ。

よくぞ、この厚顔な人をつかまえた、とまずは「敗軍の将」担当を称えたい。何であれ、本人に語らせた殊勲は大である。さはさりながら、読んでのけぞった。

(経済財政)諮問会議の議員のときに私は国有資産の売却を積極的に提案していました。それで、国有財産を売れといっておきながら、自分は官舎に住んでいるのはけしからんと批判されました。

そんなバカな批判はありませんよ。確かに、財政状態が厳しい中で国有資産の売却は急ぐべきです。しかし、その話と今は使われていない遊休資産を活用することは別個の問題です。

私は空いている官舎に住み、その対価として家賃を払ってきました。わずかかもしれませんが、それ自体は国の財源収入につながります。

あいた口がふさがらない。本人が言うように、原宿から徒歩5分の官舎に月7万5000円である。広さと場所から言ったら月40万円はするだろう。この経済学者は引き算も知らないのか。安すぎる家賃を払ったから、国の財政再建に貢献したなぞ、笑止のきわみである。

空いている? 考えられない。入居をすすめたのが財務省高官だったとしても、その甘言に乗って入居を応諾したとき、篭絡の下心が見えなかったはずがない。その慢心があったからこそ、愛人を官舎に住まわせ、パパラッチが見張っているなかを堂々と闊歩していたのではないか。まったく「別個の問題」ではない。

「地方から来た人間が東京で仕事をするのはとてもハードルが高い」だと? 笑わせなさんな。権力にすり寄ろうと、せっせと東京に出てきたのは、誰の野心だったのでしょう。

愛人問題については「身から出たサビ」と殊勝らしいことを言うが、もちろんあなたを刺したのは霞が関の官僚である。自民党税調のいわゆる「インナー」も足を引っ張っただろう。

だが、文句を言っちゃいけない。ろくな研究成果も見識も持たない大学教授が、権謀術数で権力の階段を駆けあがったのだ。スキを見せれば、蹴落とされるのは当然と言っていい。

それにしても往生際が悪い。FACTAはヘソ下スキャンダルは追わないが、「水に落ちた犬」はやはり打たなければいけないのかもしれない。官舎住まいの間、大阪からの出張費をもらっていなかったかどうか(これは税金の横領にあたる)――もう一度調べる必要がある。

辞めたから、追及がやんだ。なのに、まだ四の五の言っている。なんにもわかっちゃいない。

もうひとつ。こういう「敗軍の将」を誌面に載せるのなら、編集者のスタンスも問われる。それが雑誌のケモノ道ですよ。

投稿者 阿部重夫 - 20:00| Permanent link | トラックバック (0)


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発行人 阿部重夫

編集長 阿部重夫

1948年、東京生まれ。東京大学文学部社会学科卒。73年に日本経済新聞社に記者として入社、東京社会部、整理部、金融部、証券部を経て90年から論説委員兼編集委員、95~98年に欧州総局ロンドン駐在編集委員。日経BP社に出向、「日経ベンチャー」編集長を経て退社し、ケンブリッジ大学客員研究員。 99~2003年に月刊誌「選択」編集長、05年11月にファクタ出版株式会社を設立した。

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