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作家の城山三郎氏の訃報が届いた。
著名人なので、各紙とも評伝を載せている。それらと競う気はないが、故人を静かにしのんで、一言だけ付け加えたい。城山氏と最後にお会いしたのは、もう4年前になる。
経営評論家で「選択」創業者の飯塚昭男氏が亡くなり、護国寺で行われた葬儀に出席され、弔辞を自らお読みいただいた日をきのうのように覚えている。
弔辞は原稿用紙に書かれ、「最後の原稿をお届けします」の言葉で結ばれた。奥様を亡くして体もすこし弱っていた時期だったろうか、針金のように痩せて顔にも深いしわが刻まれていた。それでも凛として背筋を伸ばしておられた姿が忘れられない。
彼の著作を経済小説と呼ぶのは躊躇する。たまたま材を経済人にとっただけで、今はもう稀少になった理想を描く小説、気骨の人を追う小説だったと思う。葬儀の始まる前、しきりに特攻隊のことを語っていた。城山氏は最後まで国に殉じた彼らの残像のもとで生きていたのだと思う。
ときにそれが激語となったが、その語り口は常にある静謐さをたたえていた。
投稿者 阿部重夫 - 11:05| Permanent link | トラックバック (0)
1948年、東京生まれ。東京大学文学部社会学科卒。73年に日本経済新聞社に記者として入社、東京社会部、整理部、金融部、証券部を経て90年から論説委員兼編集委員、95~98年に欧州総局ロンドン駐在編集委員。日経BP社に出向、「日経ベンチャー」編集長を経て退社し、ケンブリッジ大学客員研究員。 99~2003年に月刊誌「選択」編集長、05年11月にファクタ出版株式会社を設立した。
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