阿部重夫発行人ブログ「最後から2番目の真実」
インタビュー:池田信夫氏(5)電話代はタダになる
2006年12月13日 [メディア論]
池田信夫氏のインタビューの最終回を掲載します。ムーアの法則に逆らう「ボッタクリ」が携帯電話料金の本質。その手品が通用しなくなったとき、通信キャリアの利益構造はがたがたになります。すでに海外では、料金の高止まりを突き崩すFONのような企業が登場してきました。
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阿部 携帯電話で言えば、ソフトバンクモバイルの「0円」広告に不当表示だという批判が集中しましたが、そもそも業界全体の料金体系に問題があります。
端末を買うときに1円にして、あとから料金に上乗するため、長く使えば使うほど損するようになっている。すでに総務省もインセンティブはやめるよう言っています。やはり、携帯電話の料金もぼったくりに近いですか。
池田 そうでなければ1兆円もの利益は出ないでしょう。ソフトバンクモバイルの「0円」キャンペーンのやり方がいいとは思いませんが、彼らがいままでのビジネスモデルを変えようとしていることは確かです。
キャリアにとってインセンティブの負担はかなりきつくなってきています。最初に契約してもらうためには払う意味がありますが、買い替えのときに払うメリットはないですから。日本の流通業にありがちな販売店との馴れ合いのなかでずるずると続いている。ソフトバンクモバイルはそれを断ち切ろうとしているんでしょう。
阿部 総務省の報告書に、SIMロック解除に向けた一文がありました(参照:IP化の進展に対応した競争ルールの在り方について)。
池田 やめることが望ましいということは書いてありましたが、直接的に規制するのは難しいでしょう。SIMカードだけを売っているヨーロッパでも全面的な規制はしていません。ただし、キャリア間の競争を阻害していることは常識ですから、それを総務省がどこまで強く言ってくるかでしょう。
いっそのこと、ソフトバンクモバイルがSIMロックをやめて端末とSIMカードを別売りにして、端末のほうはメーカーの自由にさせたらいいんです。そうすれば、インセンティブはいらなくなるので、そのぶん料金も毎月3000円ぐらい下げられるし、世界中からブラックベリーやノキアの端末が入ってきて、ドコモやauの何倍ものバラエティが揃う。そういうグローバルなビジネスモデルで、インセンティブの負担に苦しむ在来キャリアを攻撃すれば面白くなる。
阿部 通信コストがどんどん下がってきて、それに利用者が気づき始めたとき、通信事業者のビジネスはどうなっていくとお考えですか。
池田 固定電話のサービスはすべてSkypeのようなIP電話になるでしょう。すると、電話料金が取れなくなってくる。
携帯電話も各所に張り巡らされた無線LANからIP電話を使えばタダになります。すでにPDAにはSkypeが入った機種が出てきていますから、携帯電話にも対応した端末がでてくれば、料金もゼロに近づく可能性があります。
最近、GoogleやSkypeなどが出資しているスペインのFONという会社が話題になっていますが、FONは個人が所有する無線LANのアクセスポイントを開放し、世界中で共有しようというサービスです。端末にあらかじめFONが提供するソフトをインストールしておけば、FONをサポートしている基地局をどこでも使えるようになります。
似たようなサービスは以前からありましたが、FONが恐れられているのは、FONをサポートした無線LANの基地局をただで配り始めているからです。こういった動きがどこまで広がるか注目しています。
ITの業界というのは、1年先がどうなるかはほとんど分かりませんが、10年先にどうなるかというのは分かるんです。固定電話も携帯電話も10年先には事実上タダになるでしょう。どういう経緯をたどって行くかは分かりませんが、タダになることは間違いありません。
(完:5/5)
投稿者 阿部重夫 - 06:00| Permanent link | トラックバック (1)

