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阿部重夫編集長ブログ「最後から2番目の真実」

番号ポータビリティー5――端末インセンティブの終焉

2006年10月30日 [モバイル]

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ソフトバンクモバイルの「サプライズ」で幕開けした番号ポータビリティーだったが、しだいに時間がたってみると、アバタとエクボの両方が見えてくる。ドコモの中村維夫社長は、ソフトバンクの唱える「通話ゼロ円」宣伝を批判していた。

キャメロン・ディアスのCF起用といい、話題づくりだけは上手だったけど、システムダウンなど負の話題(これについては雑誌FACTA次号で検証するしかない)も提供した。孫正義社長、相変わらずの「お騒がせ」男である。さて、開始1週間をどう評価するか。最終回はソフトバンクモバイルの松本徹三氏のインタビューを共にした携帯ジャーナリスト、三田隆治氏にコメントしてもらおう。

*   *   *   *   *

今回発表されたソフトバンクの料金については批判も多い。NTTドコモやauも早速批判的なコメントをしているが、彼らにそれを非難する資格はないだろう。「料金プランが複雑怪奇」「安くなったと見せかけて通信単価は実質値上げ」「誤解を与えるような広告」などは、既存キャリアも今まで散々行ってきたことではないか。

ソフトバンクの新料金で注目すべきポイントは2つある。

1つには、「インセンティブ(端末報奨金)制度」という長らく続いてきた慣習を終わらせる方向に振ってきたことだ。端末には今まで通りにインセンティブ自体は付くのだが、消費者にはインセンティブがない本来の「通常価格」が提示され、割賦販売の形を取ることで、機種変更や解約時には、残額を消費者自らが負担しなくてはならなくなった。

この方式は個人的には案外評価している。既存の携帯電話会社は、このインセンティブ制度で、いわゆる「新規即解約」(ニューモデルを安価に手に入れるため、割安になる新規契約で入手し、その後にすぐ解約すること)を行って、次々と最新型の携帯電話を安価に入手するユーザーによって被った損失分までも、1台の携帯電話を長く使い続ける「まっとうな」ユーザーに対して料金転嫁してきた。

ソフトバンクの方式は、この「新規即解約」による損失を事実上シャットアウトできるし、またユーザーに対しては「必要なだけの機能を備えた携帯電話を適価で選ぶ」という啓蒙にもつながる。これは、昨今のように不必要な機能ばかりが増えた携帯電話の登場を抑止する効用も期待できそうだ。

ライバル各社は「値引き競争には加わらない」とコメントしているが、この「インセンティブから割賦販売へ」というトレンドだけは、案外、ソフトバンクの成否を見極めた上で追随してくる可能性は高いのではないだろうか。

2点目は、「通話定額」の実施だ。

個人的には、以前からこれはある程度予想していた。なぜなら通話定額は「弱者の戦術」として極めて有効だからだ。以前から通話定額を実施していたPHSのWILLCOMは、通話定額の実施で、低迷していたMOU指標(月間平均通話時間)を、短期間のうちに何と2倍以上に引き上げたという実績もある。

また通話定額は、実は小規模法人の契約獲得にも極めて有効だ。(WILLCOMの通話定額を安価な「モバイルセントレックス」として利用している法人は案外多い)、こればかりは大手ライバルには追随は難しいだろう。

(三田氏本人の希望で、一部表現を誤解を避けるため、アップ後に修正してあります)

投稿者 阿部重夫 - 06:00| Permanent link | トラックバック (0)

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* 編集長 阿部重夫 *

編集長 阿部重夫

1948年、東京生まれ。東京大学文学部社会学科卒。73年に日本経済新聞社に記者として入社、東京社会部、整理部、金融部、証券部を経て90年から論説委員兼編集委員、95~98年に欧州総局ロンドン駐在編集委員。日経BP社に出向、「日経ベンチャー」編集長を経て退社し、ケンブリッジ大学客員研究員。 99~2003年に月刊誌「選択」編集長、05年11月にファクタ出版株式会社を設立した。

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