阿部重夫発行人ブログ「最後から2番目の真実」
誰が新聞を殺したか2――New Assignment.Net
2006年08月30日 [メディア論]
今週はじめから最新号の一部記事の無料公開が始まっています。すでに月曜に「イオンがローソンを買収か」という記事、火曜に「産経がセレブな紙媒体創刊へ」という記事を公開したが、本日(水曜)は「ケータイクレジットに致命的な欠陥」の長尺記事です。
これは業界内外で「やっぱり」「よくぞ指摘してくれました」と好評だった記事で、便利さの裏に潜む問題をえぐっていますので必見のお勧め記事です。
さて、宣伝はここまで。先日ご紹介したThe Economist 最新号の特集「誰が新聞を殺したか」で、ひとつだけ、おや、と思ったくだりがあった。こうである。
硬派ニュースの報道にとって、インターネット・ジャーナリズムの結果は、(百花斉放の)コメントとは逆に、誰もが認めるように限界があった。大半のブロガーは安楽椅子に座っていて最前線にはいない。(オーマイニュースが集めるような)市民ジャーナリストもローカルな話題をなかなか出られない。しかし、即断するのはまだ早い。紙媒体が後退するにつれて、新しいオンラインのモデルが生まれるだろう。非営利団体のNew Assignment.Netは、インターネットに調査報道の記事をつくりだそうと、素人とプロの仕事を結合させることを計画している。うまい具合に、無料クラシファイド広告のサイト、クレイグリストのクレイグ・ニューマートが、そうした計画に1万ドルを寄贈した。
これは朗報というべきか。ジェイ・ローゼンのブログ・サイト「PressThink」がそれを詳細に論じている。実はまだNew Assignment.Netというサイトは存在していない。しかし面白いアイデアである。いわば、調査報道請け負いサイトである。
世の中には新聞その他の既成メディアにあきたらないリッチ層はいくらでもいる。その人たちがこういう非営利サイト(もちろん持ち逃げするようなところは論外で信用力がなければならない)に寄付するお金によって、リスク(訴訟リスクも含む)をとって調査報道(時間、記者などコストがかかる)をさせるというビジネスモデルである。
利益ではない。しかし真に取材力のあるライターに、やりがいのある仕事をさせるには、いいモデルかもしれない。もし日本でもそういうモデルにチャレンジする非営利団体ができたら、FACTAも当然ながら請け負ってみたい。市民記者の「オーマイニュース」モデルより、もしかすると有効かもしれないと思いませんか。
それが成立したら、商業メディアとして利害が絡みあって抜き差しならなくなっている新聞・テレビ・雑誌メディアに対する大きな風穴になると思う。ただ、その風穴があいた瞬間、既存メディアは即死するだろう。広告スポンサーに気兼ねしているメディアを誰も信用できなくなるからだ。
どうでしょう。このアイデアは。
31日に開催されるRTCカンファレンスというイベントでゲスト講演することになりました。テーマは「総裁選とアジア外交」です。ご興味のある方はこちらのサイトをご覧ください。
投稿者 阿部重夫 - 06:00| Permanent link | トラックバック (0)

