阿部重夫編集長ブログ「最後から2番目の真実」
電通を撃つ4――第2質問状
2006年04月25日 [電通を撃つ]
昨晩は同業の編集者諸兄、さらに企業広報の方々に神田錦町で励ましの会を設けていただいた。宮嶋副編集長ともども激励にお礼申し上げます。いささか飲み過ごしたので、このくだりは朝書き足している。
本日も新たに一本、創刊号から記事を無料公開(フリーコンテンツ)して、このサイトに載せました。題して
フジテレビから問題のライブドア株を個人で購入した宇野康秀社長のバックグラウンドを調べた記事です。評判のGyaOが800万人も契約者がいながらアクセスログを公開しないのはなぜか、光ファイバー事業を売ろうとしていた事実などが書いてありますので、ご精読ください。
さて、電通の続きである。第一回の取材要請に対し、広報室の小林光二氏から電話があり、質問項目の詳細を求めてきた。こちらの手の内を知りたいのだろう。ここは駆け引きである。あまり大ざっぱでは足元を見られるし、あまり手の内を明かしては事前に防御策を講じられてしまう。向こうがドキッとする内容をにおわせながら、とどめは会ってからでないと言えないというニュアンスを漂わせるのがいい。
これは広報の基礎知識です。こちらはさんざん調査報道を試みたのだ。馬脚をあらわすようなへまはしない。3月27日、第二質問状をファクスで送った。
金曜日は、突然のお願い事にも関わらず、連絡をいただきありがとうございました。
おうかがいしたいことを一言でいいますと、モバイル広告戦略の一環として、昨年末から今年初めにかけて、御社が実施した3社との業務・資本提携において、それに絡むオプト、サイバーエージェント、ネットプライスの株が、出来高を伴って上昇しているのはなぜか、そこに情報漏洩はなかったか、コンプライアンス上の問題としてこれを御社が意識しているか否か、といった点であります。
そこで、以下を質問致します。
(1)サイバーエージェントの子会社であるシーエー・モバイルと電通グループが、業務・資本提携を発表したのは昨年12月15日です。これよりサイバーエージェントには17億7750万円の子会社売却益が発生、同日付でサイバーエージェントは通期業績予想を上方修正しております。
シーエー・モバイルは未上場なので、この提携と上方修正に反応するのはサイバーエージェントの株価であり、事実、同社株は値上がりするのですが、問題はその3日前から値上がりを始めていることです。送付資料のように12月9日の株価19万9000円、出来高5877株は、12月12日終値で21万7000円、出来高3万2120株となり、発表前の12月15日には24万4000円を記録、4営業日で18%の値上がりでした。
(2)オプトとの業務・資本提携は、昨年12月22日の発表です。オプト株は、送付資料のように、12月8日までは出来高500株前後で推移、価格も50万円台でした。ところが12月9日に、突如、3265株の出来高を記録、終値は53万9000円となり、22日の発表まで出来高を伴いつつ上昇、22日は70万3000円でした。発表の後、連休をはさんだ12月26日の終値75万円はわかるとして、この10営業日の相場は、あまりに不自然です。
(3)ネットプライスと御社との業務・資本提携の発表は今年1月19日ですが、16日の夕方からライブドアへの東京地検特捜部による家宅捜索があり、17日、18日といずれの市場も大暴落、このため上記2社との単純比較はできません。また後述する理由によりネットプライス株については、長いスパンで検討したいと思っています。
ただ、ライブドアショックの前日の1月16日、前営業日(13日)の終値57万8000円、出来高294株が、終値64万円、出来高1081株となっている点には注目をしております。
ここまでは前段である。添付した株価の終値一覧を参照すれば、株価の動きが不自然であること、そこにインサイダー取引の疑惑が生じることを淡々と指摘している。質問はこのあとに列挙されている。
(4)ネットプライスと御社、及びCCIとの業務・資本提携につきましては、東証が関心を寄せ、照会しているとの情報を入手しております。御社とネットプライスとの協議が始まったのは昨年11月からと思われますが、株価の動きは11月15日の終値41万1000円から1月16日の最高値64万円まで上昇しています。この値動きと、インサイダー情報を知りうる立場にあった関係者の取引の有無を、東証は調べていると思われます。そこでお尋ねしたいのは、御社が正式に業務・資本提携の機関決定をしたのはいつの時点で、どの場(たとえば投資委員会とか取締役会とか)で行われたのでしょうか。その決定に関与した役員数及び役職者数、その機関決定の責任者が誰かを把握していたらお教えください。
(5)ネットプライス株の上昇について、御社内ではこの機関決定との連動の有無を社内調査したのでしょうか。ネットプライスと御社との本格的な議論が始まるのは12月9日午後、御社で行われたミーティングからだと認識しております。この席には、シーエー・モバイル外川社長、ネットプライス佐藤社長のほか、御社からは長沢IC局長、MC局主務ら7名が出席しています。御社は彼らに対し、家族も含めた株取引の有無など調査したでしょうか。またその周辺で機関決定や協議の内容を知りうる立場にいた社員の社内調査は行われているのでしょうか。行われていないなら、なぜなのか理由をお教えください。
(6)略
(7)ご承知のように、日本の広告業界はアメリカなど世界の大勢である「1業1社」制ではなく、「1業多社」制を取っております。その生命線は、御社内のファイアーウォールであり、インサイダー取引など言語道断のはず。業務・資本提携案件を数多く抱える御社が、どんなインサイダー防止策をとり、コンプライアンスにどんな手を打っているのか、お教えいただければ幸いです。モバイル広告やネット広告の成長に伴い、御社は数多くの提携で先手を打とうとしていますが、出資案件が増えるにしたがい金融資本化していけば、将来的には「1業多社」制の維持が困難になると考えているかどうかについても、ご意見をお聞かせください。
以上である。説得的でしょう? 電通のファイアウォールに対し本質的な疑問符を投じているだけである。同じ問いを株主が発したとしたら、当然、上場企業たる電通は回答する義務があるはずだ。インサイダー疑惑は株主の利益を損なうからである。答えられないなら、電通に上場企業としての資格はない。
では、電通など関係企業はどう回答したか。次回以降、それを順次掲載していこう。すでに電通内部からは、IC局の情報管理のずさんさを認めるメールが寄せられている。電通が社内調査に踏み切らないなら、それもいずれ公開しよう。
投稿者 阿部重夫 - 06:00| Permanent link | トラックバック (1)
