阿部重夫発行人ブログ「最後から2番目の真実」
ウェブ進化論7――出会い系の「冬ソナ」債鬼編
2006年03月10日 [ウェブ進化論]
創刊前の編集長が出会い系なぞにウツツを抜かしている、と誤解されそうだから書いておく。有料ポイントの金を払って、体当たりで出会い系サイトの実験をしてくれたのは、私の知人であって私ではない。編集長が隠れてそんな隠微なことをしていたら、いくらなんでも同志の宮嶋君や小島君、それに「ときどき代行」の和田さんたち女性スタッフが許してくれない。ネットの「あちら側」がいかにしてカネをまきあげるか、という実験です。
さて、自称「美紀」さんとのデートは、直前に「大至急」のメールが入った。追加ポイント代3000円を払って、メールをのぞいてみると「今日でしたっけ?」とおとぼけ。ああ、まただまされた! 君のような人とお会いしようと言うのが間違いだったんだ、とホゾをかむ。けれど、「じゃぁ、バイバイ!」と書こうものなら「規約」違反になる。「相手の女性の自尊心を著しく傷つけた場合は制裁ポイント500!」。こういうところだけハラスメントには厳しい。トホホである。
それを思い出すとコワモテもできない。このままずるずるポイント代を稼がれるのもシャクだから、「ちょっと用事が出来てしまったので、すみません」くらいに言い逃れて逃げようとする。「え?どういうこと?」ときて、そのメールを開けると、ドーン!とポイント追加。どうしたってまきあげられる「キャッチ22」の陥穽になっているのだ。
それなら、いっそ相手と会おうと思ってランデブー場所に出かけると、いくら待っても来やしない。で、再びネットにアクセスすると、例の「大至急!」というメール。何事かと思って、クリックすると「ポイントが足りません」。おかしいなと思ってトップページに帰ってポイントをチェックすると、さっきまで300ポイント(一通のメールを読むのに15ポイント、発信するのに30ポイント)あったはずなのに、10ポイントほどに減っている。もっとひどい場合は60ポイント以上あると表示されていても、メールが出せない。
やむなく「ポイントが足りません」というページに行って、ポイント追加をクリックすると、いつものポイント追加(銀行振り込み、カード、ビットキャッシュ)の画面は表示されずにメールの本文が表示される。で、5分もしない間にポイント貸し付けのメールがやってくるという状態になる。どういう文面かというと、
xxxxxxxxx様
ポイントの貸付処理を完了しました。
現在のポイントは513ポイントです。
貸付致しました800ポイント分の料金8000円を本日06年02月x日x時x分より3日以内に下記の口座にお振り込み下さい。
MTU銀行
田無駅前支店
普通xxxxxxx
オオムラ タツヤ
※お振込の際には必ず振込人の欄にお客様ID番号【yyyyyyy】を記入して下さい。(英数字切替ボタンを押すと数字が入力できます)
さて自称「美紀」さんはどうなったか。追加ポイント支払いの請求なぞ知らんぷり、相変わらずランデブーの場所や時間を変更したりとのらりくらりである。
「わかりました。こちらからお誘いしたのでお食事くらいはご馳走させてくださいね。明日の午前中にメールもらえますか?」
「連絡。今日中にくれませんか?」
「先に会う約束をしてしまう方が早そうですね! でも待ち合わせ初めてでなかなかわからないけどどうしますか? 貴方の指示してくれた場所にいきますよ!」
まさにすれ違いの「冬ソナ」である。「美紀」とは永遠の「君の名は」なのだ。かつてのテレビ番組「マックス・ヘッドルーム」のように、彼女は「あちら側」にいるだけで「こちら側」に降臨することがない「幻影」なのだ。このラビリンス(迷宮)でいたずらにポイントが消費されていく。そろそろ踏ん切りをつける時だろう。こう書いて連絡を絶った。
「おかしくないですか???明日、お会いする約束を今日の昼にしたじゃないですか??信用を失いました。さようなら。もちろん明日の件はなしです。では」
もちろん、こうなると敵は夜叉の顔の「債鬼」に変身する。こんなメールが届いて凄むのだ。
2006年02月x日に契約されたポイント購入代金のお振込みの確認が末だに取れておりません。このまま放置しますと選任弁護士を通じ法的処置に着手します。後払決済契約ポイント購入代金(8000円)を大早急にお振込み下さい。行き違いでお振込済の際はご容赦願います。
そのまま放っておくと、悪質な消費者金融の取り立てみたいになってくる。
xxxxxxxxxxの携帯電話から2006年02月x日に契約されたポイント購入代金のお振込みの確認が末だに取れておりません。貴殿の行為は契約不履行です。後払決済契約ポイント購入代金(8000円)を即刻お振込下さい。ご入金無き場合、誠に残念ですが当債権を回収専門業者に業務委託する手続きに移行します。
振込み先はいずれも「オオムラタツヤ」名義のMTU銀行田無駅前支店の実在の口座である(ここでは口座番号だけ伏せた)。MTU銀行の田無駅前支店長、および同行コンプライアンス部門に告ぐ。調べてごらんなさい。上記名義の口座は出会い系サイトに使われているから、閉鎖しないと恥をかきますよ。「お堅い銀行」の看板がアダルトに利用されているばかりか、顧客の身元確認がルーズだということまで、金融庁監督局の目にとまりますから。
ダイヤルQ2育ちのビット・バレー族がつくる「あちら側」の実像はここにある。出会い系は永遠に出会えない。「あちら側」の究極は、ひたすらマシン相手に出会いを夢見るどうどうめぐりである。グーグルの化粧板でいくら飾っても、この自分の尾を飲みこもうとするウロボロスの蛇は隠せないのではないか。
投稿者 阿部重夫 - 06:00| Permanent link | トラックバック (4)

