阿部重夫発行人ブログ「最後から2番目の真実」
ソニーの「沈黙」18――携帯オーディオ開発出直し
2006年01月22日 [ソニーの「沈黙」]
コニカミノルタからデジタル一眼レフカメラ事業部門を買収するという派手なニュースの陰に隠れてだが、ソニーが1月20日、ウォークマンAシリーズの音楽配信ソフトなどでトラブル続きだった開発組織「コネクトカンパニー」の機構改革と人事を発表した。このブログで昨年来指摘してきた携帯オーディオの開発立ち遅れを認め、体制立て直しに踏み切ったと見たい。ソニーにも「聞く耳」はあったと考えよう。
コネクトカンパニーは、ウォークマン復活を狙って日米にまたがる特命部門として04年11月に設立され、05年11月にAシリーズを発売したが、ソフトの欠陥(バグ)が相次いでライバル「iPod」追撃を果たせていない。
ソニーは今回の機構改革で同部門の名称を「コネクト事業部門」に変更、従来型音響機器の担当執行役であるデジタルイメージング事業本部長の中川裕EVP(エグゼクティブ・バイス・プレジデント)の傘下に置き、コネクト事業部門長は吉岡浩オーディオ事業本部長が兼任することになった。
これまでは、日本で主に機器周辺を、米国側でインターネットによる楽曲配信ソフトなどの開発を進めてきたが、開発責任者を解任し、昨年末にライバルのアップルから引き抜いたソフト技術者を起用するという。日米に1人ずついた責任者(日本側は辻野晃一郎コ・プレジデント)を替え、部門長1人体制にしたのは、要するに一からの出直しである。
中国浙江省で起きたデジカメ「サイバーショット」6機種の販売停止問題で販売再開のめどが立たない現在、デジタル一眼レフ「α」の継承について語るのはふさわしくあるまい。ソニーに差し上げた2回目の質問状(1月11日送信)に対する回答が届いたので、それをまず報告しよう。季節のあいさつなど定型部分を除く私の質問状の前文は、以下の通りである。
昨年はウォークマンAシリーズおよび、ソニーBMGのコピー制限ソフトについての質問状にご回答いただき、ありがとうございました。取材の申し入れに対し「係争中の案件」を理由にご辞退されましたが、ご承知のように昨年暮れに集団訴訟の代理人弁護士とのあいだで、和解案が成ったと報じられ、原告側弁護団のウェブサイトでは和解案の全文が公開されました。新たな事態となりましたので、法務担当者には和解案の解釈など、経営幹部には今後のソニーのDRM(デジタル著作権管理)をどうするか、またサウジの富豪アル・ワリード王子のソニー株購入検討の報道などについてお尋ねしたいと思います。よろしくご一考いただけますようお願い申し上げます。
これに対し、ソニー広報センターの回答の前文はこうだった。
前略、先日はソニーBMG者のコピー防止CD搭載のXCPソフトウェアに関する問題等につき、質問をお寄せいただき有り難うございました。いただいたご質問項目に対する回答を用意いたしましたので、以下の通りお届け申し上げます。ご査収ください。
【1】和解案について
まず冒頭、念のために一点明確にさせていただきたく存じます。ご質問にあるBMG販売コピー防止CDに関する訴訟はソニーBMG(ソニー(株)と独ベルテルスマン社の50:50の合弁会社)、コピー防止ソフトウェアの開発メーカーであるFirst4Internt社および米国のSunn Comm International社を被告としてニューヨーク州の連邦地裁に提訴されたクラスアクションです。
そしてこのたび、当該案件に関しては法廷審議開始以前に、当事者間における和解案が成立し、今後、NY州の連邦地裁の承認を得て後日、和解が正式に成立致します。
本訴訟への対応は一貫して直接の訴訟当事者であるソニーBMGの法務部門が対応しており、いただいたご質問もソニーBMGの法務部門に回付し、回答を得ました。以下の回答は当事者であるソニーBMGとしての正式回答であるとご理解ください。
私の質問状には、ソニー本体の経営幹部、または法務部門担当者にじかに会って質したいと希望したのだが、今回も実現しなかった。個別の質問のなかには、ソニー本体の知的財産権保護とアメリカでの訴訟はソニーBMGが対応していて、ソニー本体とは一線を画している。
しかし、20日発表のコネクトカンパニー機構改革でも明らかなように、ウォークマンAシリーズのつまずきの一因は、開発部門がハードとソフトで日米に分割され、ソフトをアメリカ任せにしていたという点にあった。携帯オーディオで起きたトラブルと、音楽CDのコピー制限ソフトのトラブルが、表裏一体だったことの証明ではないか。
その点で、いまだにソニー本体の経営幹部がインタビューに応じず、合弁会社であるソニーBMGにのみ説明責任を委ねているのは納得がいかない。すくなくとも私が通奏低音として訴えつづけているデジタル著作権管理の戦略は、ソニー・グループにとって「シームレス」に立てるべきではないだろうか。そこがiPodに追いつけない弱点だという自覚を機構改革でソニーが示したのだとすれば、経営陣も逃げ隠れする必要はなくなったと考えますが、いかが。
とにかく、次回から個別項目のQ&Aに移ろう。
投稿者 阿部重夫 - 06:00| Permanent link | トラックバック (2)

