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週末にヒト・クローンの話も興ざめなので、タルコフスキーに話頭を転じよう。
「Russia」と表紙に書いてある13年前の3冊の取材ノート。それを見ていると、硬直したブレジネフ時代にふさわしくない詩的な映像を撮った映画監督タルコフスキーの作品の1シーン1シーンが、走馬灯のように脳裏をよぎる。
彼はほとんど私小説に近い「私映画」も撮った。それが「鏡」(Zerkalo, 1975)で、ここでも父アルセーニの詩を朗読させたのだ。脚本はタルコフスキーが書いたもので、母のマーリヤの人生をテーマにしているが、なんと実の母も登場させている。父は母と離婚していたが、映画ではその父に自作の詩を朗読させた。11回も録音やり直しを命じられた父は「息子が天才だなんて信じられなかったが、今は信じる」と脱帽した。タルコフスキーの執着は、映像のなかで「一族再会」を果たすことだったのだろうか。
投稿者 阿部重夫 - 06:00| Permanent link | トラックバック (0)
1948年、東京生まれ。東京大学文学部社会学科卒。73年に日本経済新聞社に記者として入社、東京社会部、整理部、金融部、証券部を経て90年から論説委員兼編集委員、95~98年に欧州総局ロンドン駐在編集委員。日経BP社に出向、「日経ベンチャー」編集長を経て退社し、ケンブリッジ大学客員研究員。 99~2003年に月刊誌「選択」編集長、05年11月にファクタ出版株式会社を設立した。
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