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阿部重夫編集長ブログ「最後から2番目の真実」

2005年12月29日

ソニーの「沈黙」13――コンスピラシー・セオリーの温床

1997年に公開された映画「コンスピラシー・セオリー」(邦題「陰謀のセオリー」)は、メル・ギブソン演じるちょっとオツムの弱いタクシー運転手が、陰謀史観にとりつかれて客にのべつ吹聴し、その強迫観念にあわせて自宅のアパートも要塞のように改造してしまった場面から始まる。脳裏をよぎる三本の煙突の執拗なフラッシュバック。そしてジュリア・ロバーツ演じるヒロインをやみくもに守ろうとする行動。運転手は憑かれたように語る陰謀史観以外に何も覚えていない。

映画はその頓狂な非現実がしだいに現実に化していく恐怖を描くのだが、ほんとうはこの運転手の妄想が完成して外に出られなくなり、妄想どおりに秘密機関の追跡と恋人の救済という願望に閉じこもってしまったかと思える。

投稿者 阿部重夫 - 06:00| Permanent link | トラックバック (0)

発行人 阿部重夫

編集長 阿部重夫

1948年、東京生まれ。東京大学文学部社会学科卒。73年に日本経済新聞社に記者として入社、東京社会部、整理部、金融部、証券部を経て90年から論説委員兼編集委員、95~98年に欧州総局ロンドン駐在編集委員。日経BP社に出向、「日経ベンチャー」編集長を経て退社し、ケンブリッジ大学客員研究員。 99~2003年に月刊誌「選択」編集長、05年11月にファクタ出版株式会社を設立した。

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