楽天が「エアウィーヴ」支援電通に損害賠償訴訟も

2017年12月号 DEEP [インサイド]

  • はてなブックマークに追加

浅田真央さんのテレビCMでお馴染みのエアウィーヴ。「マットレスパッド」の新市場を創出し、倍々ゲームで売上高が100億円を超え、創業者である高岡本州会長は、一躍売れっ子ベンチャー経営者となった。

そのエアウィーヴに経営不安説が広がったのは今年7月。17年2月期決算で約20億円の純損失が判明したからだ。同社は16年夏のリオデジャネイロ五輪に照準を合わせ、日米中台独オーストラリアのオフィシャルスポンサーとなり、30億円を超える海外投資を行ったが、「見通しが甘く焦げ付きを出し、海外法人1社を畳むことになった」(業界関係者)。

今年5月以降、創業者の高岡会長が社長に復帰し、睡眠ブームの追い風を受けて、国内事業は順調に売り上げを伸ばしているようだ。更に、10月には楽天(12億円)、森トラスト(2億円)、中部電力(1億円)などから約20億円の第三者割当増資を受け入れ、IPOを視野に新たなスタートを切ることになった。

とはいえ、火種が消えたわけではない。ファンド筋によると「エアウィーヴは、米国電通にリオ五輪向けのウェブサイトのコンテンツ作成やウェブ広告の出稿を委託したが、トラブルが続出し、リオ五輪開幕に間に合わず、最終の完成が9月にずれ込んだ。昨年末には、電通役員から高岡氏宛に平身低頭の詫び状が届いた」と言う。ところが、新入社員の過労自殺問題で今年1月に社長が交代するなど、電通社内の混乱が続いたため、「エアウィーヴ側への納得のいく説明や対応策が示されていない」とファンド筋は言う。

リオ五輪向け商戦の失敗で、エアウィーヴ本体の財務状況が悪化し、初めての外部資金導入に追い込まれた高岡氏は腹の虫が収まらないようだ。「電通新社長の山本(敏博)さんに話し合いを申し入れたが、それも叶わないなら、電通が詫び状を出した経緯を含め、損害賠償訴訟を起こすことを考えているようだ」(ファンド筋)。何ともきな臭い。

   

  • はてなブックマークに追加