「リオ五輪」に最多選手団の快挙! ミキハウスが挑む「ゴールド」

五輪代表となった17人の選手が次々に「メダル獲得宣言」。リオデジャネイロ大会で「ミキハウス旋風」を巻き起こす!

2016年7月号 INFORMATION
取材・構成/本誌編集委員 和田紀央

  • はてなブックマークに追加

ミキハウス選手団と木村晧一社長(前列中央)

「スポーツには、人を勇気づける大きな力がある。リオで『ミキハウス旋風』を起こしてほしい。がんばれニッポン! チームミキハウスの大活躍を期待しています!」

6月3日、都内のホテルでリオ五輪に出場するミキハウス選手団の壮行会が開かれ、約1千人の招待客で賑わった。冒頭の安倍晋三首相の熱いメッセージが読み上げられると会場は拍手に包まれた。続いて4月に引退した競泳男子平泳ぎの金メダリストの北島康介さんらの来賓が登壇し、「チームミキハウス」を激励した。

リオ五輪に出場する日本選手は約300人。このうちミキハウスは17人を送り込む(上表)。「最大で19選手に増える可能性があり、リオ五輪における法人の最多選手団としてギネス申請を準備中です」と、ミキハウスの木村皓一社長は微笑む。安倍首相をはじめ各界の著名人がリオ五輪でのチームミキハウスの活躍に期待を寄せ、壮行会に駆けつけるゆえんである。

「金メダル」には特別報奨金も!

五輪出場を決めたミキハウスの選手は、実に明るく朗らかだ。「ポスト北島」と目される男子平泳ぎの新エース、小関也朱篤(やすひろ)さんは「世界記録で金メダル」を誓う。チーム最年長の寺内健さん(35)は「5度目の五輪で日本人初の男子飛び込みのメダルを獲得したい」と、闘志を露わにした。

女子も負けてはいない。2015年世界選手権のチャンピオンで2度目の五輪に挑む濱田真由さん(テコンドー57キロ級)は「金メダルだけを目指します!」と言い切った。ロンドン大会でメダル3個を獲得した平泳ぎの鈴木聡美さんも「ほしいのは金色のメダルだけ。無我夢中で頑張ります」と、実に頼もしい。柔道女子78キロ超級の山部佳苗さんは「思いきった柔道で金を目指します」と、元気いっぱいだ。

次々に飛び出す「メダル獲得宣言」に、木村社長は「ボーナスいっぱい用意しとかな」と、嬉しい悲鳴を上げる。当日は自身の似顔絵の入った「ミキハウス特別小切手」を掲げて、種目や成績によっては千万円単位の報奨金もあることを会場のお客様に示した。「毎日遅くまで、こっちが心配になるほど練習を重ねてきたんやからボーナスは当然。あとはリオを楽しんできてねと、言いたいことはそれだけ」(木村社長)

ミキハウスのアスリート支援は1989年に女子柔道部を創設したのが始まり。92年バルセロナ五輪以来6大会連続で計15個のメダルを獲得。男子柔道の野村忠宏(ミキハウススポーツクラブのゼネラルマネージャー=GM)も、ミキハウスに入社後シドニー、アテネと連続で金メダルを獲得し、五輪3連覇の偉業を達成。これまでに57人のオリンピアンを輩出してきた(上表)。現在、ミキハウスはマイナー種目を中心に15競技38人の選手を支援している。

子供たちの夢と希望を応援する事業

五輪のマイナー競技は、経済的な理由からトップクラスの選手が活動を断念することが少なくない。逆に環境さえ整えば成績がグンと伸びる。ミキハウスは所属選手に一般社員と同じ給与と活動経費を支給し、競技に専念できる環境を物心両面でサポートしている。前出のテコンドーの女王、濱田真由さんもそうした競技に専念できる環境を求めて今年4月にミキハウスに入社した。「リオで金メダルを獲るため、ミキハウスの門を叩きました」(濱田さん)。そうしてチームに加わった選手たちを、ミキハウスは社業の広告塔に使うことはしない。「スポーツ支援は、あくまで子どもたちの夢と希望を応援する大切な事業の一つです」(木村社長)

所属選手が一体感と友情で結ばれているのもチームミキハウスの特徴だ。先述の野村GMや、5大会出場の寺内選手の存在は、競技種目を越えて若手選手の励みと心の支えになっている。選手と一般社員の交流も盛んで、「皆さんの応援の思いが強く感じられる。この会社にいられて嬉しい」(アーチェリーの川中香緖里さん)、「(応援してくれる姿勢が)世界一の会社だなぁと思います」(競泳の高橋美帆さん)。五輪の大舞台を目指す選手が身近にいることで一般社員も刺激を受け、「共に世界で戦おう」という勢いや一体感を社内に醸成している。

世界のトップへの挑戦は、ミキハウス創業のDNAでもある。「子ども服のベンツ」(木村社長)を目指し、いち早く仏伊へ進出、世界の富裕層向け子供服ブランドの地位を築いた。さらに、ここ数年のインバウンド急増により、訪日外客向けの売上は3年前の約5倍となり、東京・銀座、大阪・梅田などの大手百貨店での売上は前年比160%超を記録した。昨年8月にはロンドンの老舗百貨店ハロッズの売り場面積を大幅に拡張するなど破竹の勢いだ。「東京五輪はもっと応援しなくちゃならん。そのためにも本業を頑張ります!」と、木村社長の鼻息も荒い。その前哨戦となるリオ五輪でミキハウス旋風が吹きそうだ。

   

  • はてなブックマークに追加