アンドリュー・グローブ氏

誇大妄想狂だけが生き残る

2016年5月号 連載 [ひとつの人生]

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アンドリュー・グローブはハンガリーで生まれ育ったユダヤ人である。インテル創業者のゴードン・ムーアに請われて3人目の社員となり、90年代には同社を世界最強の半導体メーカーに育て上げた。1956年のハンガリー動乱をきっかけとしてアメリカに亡命。入国時に危うく強制送還されそうになり、その原体験から外国を訪れる際には非常用食品を常にカバンにしのばせていたという。入国できないかもしれないという恐怖を和らげる“お守り”だったのだろう。故国を捨てアメリカの土になるという熾烈な覚悟がインテル6万人の社員を動かした。“Only the Paranoid Survive”(誇大妄想狂だけが生き残る)が口癖であり、経営哲学の真髄だった。研究開発、生産、マーケティングに至るまで細かく目を配り、部下の机を飛び回ってはポストイットに認(したた)めたメモを貼りつけまくる。「アンディの紙爆弾」と恐れられ ………

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