厚労省喧伝「育休目標」は愚の骨頂

数字のマジックで「やった感」を演出し、意識改革を連呼。戦時中の「竹やり精神」と同じだ。

2015年9月号 BUSINESS

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塩崎恭久厚生労働大臣は最近、省内で男性職員とのコミュニケーションに熱を上げているようだ。内閣府が3月に策定した「少子化社会対策大綱」で、男性の育児休業取得の促進を謳ったが、男性国家公務員の取得率が2.8%と低すぎるからだ。民間も2.3%と同程度だから、「お手本」を示すには程遠い。塩崎氏は男性職員を自室に呼び、「厚労省は仕事と家庭の両立を支援している。隗より始めろということで、率先して育休を取得して」と呼び掛けたと全国紙に報じられた。

名ばかり対策で「やった感」

大綱では、2019年度末までに男性の育休取得率を13%まで高めるとした。なぜ13%なのか。実はこの数字、「政策」に値しない欺瞞に満ちたものなのだ。3つの点から指摘しよう。まず、目標設定がいいかげん。07年度に最初の目標を掲げた際、「12年までに5%、17年までに10%」と決定した。今回はその延長線上で「1年につき1%ずつ改善するから ………

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