住商泥沼「アンバトビー」の現実

世界最大級のニッケル鉱開発が誤算ずくめ。政情不安と市況悪化のアフリカ・リスク。

2015年1月号 BUSINESS

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サルのアイアイやキツネザルの楽園として知られ、のどかな田園地帯が広がるアフリカの島国、マダガスカルで、住友商事が世界最大級のニッケル鉱の開発・製錬事業「アンバトビー・プロジェクト」に着手すると発表したのは2​0​0​7年8月だった。当時、圧倒的な価格競争力を見込まれ、住商のキャッシュ・カウ(金の卵)になるはずだった。誤算は一体どこで生じたのか――。まず09年に政変が勃発し、外資優遇策に見直しが入ったことがある。追い打ちをかけたのがリーマン・ショック後の商品相場低迷で、開発のオペレーターであるカナダの大手鉱山会社シェリット・インターナショナルの業績が悪化した。ニッケル価格も07年5月の過去最高の1ポンド(4​5​4グラム)24ドルから09年3月には4ドル台に暴落した。これらの事業環境の急変で、住商は予想だにしないリスクを背負い込むことになった。アンバトビーは当初、 ………

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