実録・ソニー「追い出し部屋」⑭仕組まれた「早期退職」研修

「神ならぬ身の人間が人を正しく評価することなどできるものか。どうしても避けられぬリストラならば、サイコロを振って決めるほうがましだ……」

2014年11月号 BUSINESS [短期連載⑭]

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「あれ?」と、管理職たちの胸に湧いた疑問は研修会場に水紋のように広がっていった。時間が経つにつれて、それは疑惑となって膨らみ、都合3回の研修が終わるころには、参加者の一人は確信した。「なんだ! つまり、俺たちは早く退職した方が幸せだというのか」そして、こう考えた中堅幹部もいたのである。――研修で会社がそこまで言うんだったら、俺も辞めてやろうじゃないか。その研修会は、ソニー本社人事部が管理職を対象に開いた「キャリア研修」を指している。キャリア研修は他の企業でも定年間際の社員を対象に開いているが、ソニーの場合は特にセカンドキャリア支援を名目に、早期退職金や公的年金、転職後の年収などの試算を交えて将来をどう生きるのが有利なのか、中堅幹部に考えさせる内容となっていた。会場には、「バリューバンド(Value Band)」と呼ばれる統括課長から部長級まで約1​0​0 ………

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