「火力増強」怠る電力会社の綱渡り

原発を止められた電力各社は、火力の変則的運用を強いられ被害者気分。勘違いも甚だしい。

2014年8月号 BUSINESS

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6月20日、経済産業省で開かれたセミナーで後藤収・資源エネルギー担当大臣官房審議官は「震災後、初めて原子力発電所が一つも動いていない夏になる」と厳しい表情で語った。全原発が停止し、主電源に復帰した火力にトラブルが多発しているからだ。不安定な電力事情はアベノミクスによる経済浮上の足を引っ張り、第2次安倍内閣の支持率低下に直結するだけに、電力需給に関して資源エネルギー庁が受ける政治的圧力は並大抵ではない。きっかけは3月28日にJパワーの松浦火力発電所2号機(長崎県松浦市、100万kW)が定期点検中に低圧タービンの落下事故を起こして停止し、松浦火力から電気を受け取る九州電力、中国電力、四国電力の供給能力が低下したことだった。あおりを受けたのが、中国電から電力を融通してもらうはずだった関西電力。絶対に頭を下げたくない相手の東京電力に膝を屈して電力融通を受ける ………

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