矢野暴露本『乱脈経理』に創価学会が沈黙する理由

2011年12月号 DEEP [ディープ・インサイド]

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「10月30日の日曜日に創価学会が重大発表を行う……」

10月下旬、そんな情報が政界を駆け巡った。発信源は公明党の議員経験者と取り沙汰され、永田町では様々な怪情報が飛び交った。

「重病説が流れる池田大作名誉会長の病状が明らかになり、後継者の名前が発表されるのではないか……」

池田氏の病状にまつわる噂だけでなく、「学会本部が造反した矢野絢也・元公明党委員長を相手取り、名誉棄損の訴えを起こすのではないか」との臆測も流れた。

矢野氏は10月20日に講談社から『乱脈経理創価学会vs国税庁の暗闘ドキュメント』を出版。同書で矢野氏は「池田氏のたってのご意向」に従い、自らが中心になって創価学会と池田名誉会長に対する国税庁の税務調査を妨害したと、赤裸々に証言。国税工作の結果、池田氏に対する課税がゼロになり、創価学会の納税額も大幅に減額されたといった「舞台裏」を明かしている。

しかも矢野氏は「妨害工作」をめぐる池田氏ら学会首脳、竹下登元首相ら大物政治家、国税庁長官ら当局幹部とのやり取りを日付入りで詳細に記述。それらは矢野氏が国会議員時代につけていた「議員手帳」の詳細な備忘録に基づいており「すべて事実」と言い切っている。

「捨て金庫事件で金丸副総理に相談」「ブラックボックスだらけの学会会計」「ルノワール事件と宗門戦争」「60億円の申告漏れ」「墓苑会計にメス」「池田氏の公私混同と狂乱財務」「本山追い落としのために国税に投書」など、目次に目を通すだけで、矢野氏が腹を固めた超過激な「暴露本」であることがわかる。

書店に並ぶや「学会本部が矢野氏と講談社を相手取り訴訟を起こす」と噂を呼んだが、11月14日現在、なぜか、学会側は沈黙を続けている。

「裁判沙汰になると、マスコミが騒ぎ出し、ヤブヘビになるとの判断が働いているのだろう」と学会関係者は推測するが、学会本部が黙って引き下がるとも思えない。

   

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