「バカ足すバカ」大連立への殺意

2011年5月号 連載 [いまここにある毒]

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我執に凝り固まった船長が広げた海図。ニホン(本州)、マツマイ(松前)……船は日本近海にいた。船長が咆吼する。「さがれ! 漏らしておけ! このわしも漏れっぱなしだわい。穴をふさぐつもりはないぞ」メルヴィル『白鯨』の一場面である。そこは奇しくも今回の震源と津波の海域だ。神をも畏れぬ老船長は、白鯨への復讐に目がくらみ、船倉の油漏れなどに構うなと、一等航海士に銃をつきつける。航海士の「目に一瞬、閃光」が走った。が、謀反に踏み切れない。無理心中を覚悟するしかないのか。その逡巡は、原発の「神の火」を消せずに、高濃度の放射性物質を「漏れっぱなし」にした菅民主党政権に、国民が向ける暗澹たるまなざしに似ている。「バカ足すバカ足すバカは、やっぱりバカ」。口汚いが亀井静香の至言である。権力を手放すまいと菅首相は責任転嫁とパフォーマンスばかり。ポチのはずの番記者 ………

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