編集後記

2010年1月号 連載

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彼は若かった。20年前の1990年5月、国会議事堂2階の自民党幹事長室で、初めて小沢一郎氏にインタビューした。当時の写真を見ると、今より恰幅がよく髪も多い。が、口は重く「ちょっと観念的で青っちょろいというか、自分なりの考えかたをもつというかね」という自画像を引き出すのがやっとだった。時移り世は変わり、今は民主党幹事長として同じ部屋に陣取る。門前市をなす陳情――デジャヴに襲われた。▼「目白御殿が国会に引っ越したみたいで」。そんな話を久しぶりに会った麻生太郎前総理にした。憔悴から解き放たれた前総理は「天才、大河内正敏の真似かもしれん」と言う。大河内は長岡半太郎や鈴木梅太郎らを擁した戦前の理化学研究所所長で、理研コンツェルンを興した子爵である。1934年、16歳の田中角栄はその書生になろうと上京し、果たせなかった。が、ひっきりなしの陳情の列が目に焼きつき、後 ………

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