登録内容の変更新規オンライン会員登録会員サービスについて

KDDI真っ青の「WiMAX」不振

鳴り物入りで3カ月。月平均7千台余では、3.9世代までの“つなぎ”がとんだ重荷に。

2009年11月号

印刷FACTAブックマークに保存

UQは2012年度までに全国人口カバー率90%超をめざすとしているが、それを実現するためのインフラ投資に今後どれだけ資金が必要なのかまったく不透明だ。5月には、09年度中の全国政令指定都市へのエリア拡大をめざし、筆頭株主のKDDIをはじめ、インテル、JR東日本、京セラなどの株主が、総額300億円の第三者割当増資を実施。その後もKDDIの小野寺正社長兼会長は、ロイター通信に「必要があれば追加出資する」と答えているが、契約者集めに苦慮するようであれば、キャッシュフローが回らなくなり、「人口カバー率90%」に要する資金のウワバミのために、下手をするとWiMAXが重い十字架になる恐れもある。

インテルと共同で早くからWiMAXの開発に携わっていたKDDIからすると、自社か完全子会社によるサービス提供を切望しているはずだ。そのほうが基地局などの共用でコスト削減も可能になる。しかし、総務省は2.5GHz帯の免許条件に「既存携帯電話事業者の出資は3分の1以下」という制限を設けた。既存事業者の垂直統合モデルに囲い込まれることで、2.5GHz帯の新サービスまで、ガラパゴス化に感染することを恐れたのだろう。

とはいうものの、第3世代(3G)に異端のCDMA2000を採用したことでドコモやイー・モバイルに比べデータ通信の速度面で後れを取ったKDDIとしては、WiMAXはLTE(3.9世代)までのつなぎとして必要不可欠な存在。もはや引くに引けないのだ。加えて800MHz帯の周波数再編で巨額の基地局投資を必要とする「2012年問題」や、3.9世代への設備投資がKDDIの体力を確実に奪う。UQが早々と沈没したら、KDDIはお先真っ暗となる。

MVNOに望み託すが

そんなUQが望みを託すのがMVNOである。2.5GHz帯の事業者選定に関して、総務省はMVNOへのネットワーク開放を条件に入れたという背景もある。正式サービス開始後、大手プロバイダーのニフティとビッグローブがさっそくWiMAXに対応したメニューを提供し始めたが、そこに目新しさはない。そんななかで株主のKDDI自身がMVNOとなり、年末からWiMAXを提供すると発表した。法人ユーザーなどから要望の多い、データ通信の高速化をUQに託した格好だ。

さらに、MVNOの先駆けとして実績のある日本通信もNTTドコモの3G回線とWiMAXをシームレスに切り替えながら接続するサービスを年内をメドに開始すると公表した。WiMAX搭載パソコンに、USB型の3G端末を装着、2方式の切り替えをネットワーク側で自動制御するという。

しかしWiMAXがキャズム(アーリーアダプターとアーリーマジョリティーの間にある溝)を超えられるかどうかは、カーナビ、ゲーム機、情報家電といった、非パソコン系のモバイル端末にどれだけ浸透するかで決まる。昨年末の時点で「70社近いMVNO事業者と個別協議を開始」(UQの片岡副社長)しているというが、非パソコン系端末とクラウド系のサービスをセットにして提供するMVNOの登場が勝負を決することになりそうだ。果たしてそれまでKDDIはUQを支えきれるのだろうか。

<< 戻る   1 | 2  

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://facta.co.jp/trackback/200911017/

※記事の内容に無関係なトラックバックにつきましては、削除させていただく場合がございます。ご了承ください。トラックバックが正常に動作しない場合はsupport@facta.co.jpまでご連絡ください。