排出権取引で「泥縄」経産省の凋落

世界の趨勢読めず環境後進国に。きっぱり手を引き、環境省にお任せしては?

2008年4月号 BUSINESS

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今から半世紀前、水俣湾で頻発していた原因不明の運動障害、死に至る舞踏病とは、神経系を侵す水銀中毒であることを、臨床医学が突き止めた。しかし、その科学的な業績は、役所と御用学者の手によって、およそ10年間握りつぶされ、水俣病は地域社会を蝕んでいった。行政の不作為、公僕として取るべき必要な措置を怠って、社会に甚大な被害をもたらす役人の犯罪。その原点がここ不知火海にある。当時、通産省は清浦雷作・東工大教授の根拠不明な「アミン説」を担いで、医学的告発から10年もの間、原因企業の新日本窒素肥料(後のチッソ)水俣工場からの水銀廃液排出、大量の垂れ流しに何の制限も加えず放置した。当時の通産省の担当課長はこう言い放ったものだ。「犯人と決まったわけじゃなし。日本の基幹産業は止められない」環境問題をめぐるこの役所の本性は、半世紀を経てもなんら変わっていないよう ………

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