神がかりブレア前首相 カトリック改宗の真意

2008年2月号 GLOBAL [グローバル・インサイド]

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「政治家に“最後の審判”を下すのは神ではない。有権者だ」――ブレア前首相が07年末にカトリックに改宗、英国内が騒然となっている。失脚の原因となったイラク戦争を巡って犠牲者の英軍兵士遺族などから「謝罪を」との声が根強い半面、改宗でブレア氏が「神の裁きのみぞ受ける」との姿勢を示したと受け取られたからだ。

新教の英国国教会の信者だった同氏は就任時から肌身離さず聖書を持ち歩き、日曜日には滞在先でも必ずミサに出席していたが、「政治に宗教色を出すことは得策ではない」との判断から公の場で信仰を語ることはなかった。

だが、改宗に先立って放映された英国放送協会(BBC)の回顧番組のインタビューで、イラク開戦などについて「正しいと信じることをした」と繰り返し、同氏を突き動かしていたものが、有権者の声ではなく神がかった「正義の信念」だったことを印象付けた。

在任10年という労働党史上初の長期政権を築いた同氏。9.11同時テロを機に独裁者的との批判を浴びながらもブッシュ政権とともに“聖戦”に突き進んだあげく、退陣時の支持率は20%台に落ちた。大量破壊兵器などハッタリにすぎなかったイラクへの攻撃を、今も「間違っていない」「ウソはついていない」と主張するが……。

   

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